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 EC市場の拡大によって物流の重要性が増す中、物流をコストと見なす企業は多い。一方で、物流を「利益を生む機能・部門」として企業戦略に取り込み、成長の足掛かりにしている企業が存在する。物流をプロフィットセンター化するには、どんな戦略が考えられるのか。本連載では、『顧客をつかむ戦略物流 なぜあの企業が選ばれ、利益を上げているのか?』(角井亮一著/日本実業出版社)から、内容の一部を抜粋、再編集。物流によって競合との差別化に成功している企業4社の戦略と取り組みを紹介する。

 今回は、地域ナンバーワンを目指す「ドミナント戦略」で成功したセブン-イレブン・ジャパンを取り上げる。

本稿は「Japan Innovation Review」が過去に掲載した人気記事の再配信です。(初出:2024年6月4日)※内容は掲載当時のもの

セブン-イレブンの全国展開は3大チェーンでもっとも遅かった

■セブン-イレブンの高密度出店方式

 国内最大のコンビニエンスストアチェーン、セブン-イレブン・ジャパン(以下、セブン-イレブン)は、店舗数2万店超、チェーン全店の売上は5兆円を超える規模があります。2019年7月、沖縄県への出店により、47都道府県すべてで店舗を展開することになりました。

 現在、大手コンビニチェーン(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート)3社はいずれも全都道府県に店舗を展開しています。

 そのなかで一番遅かったのが、店舗数、売上規模いずれも国内ナンバーワンのセブン-イレブンです。

 一番早かったのはローソンです。同社は1975年の1号店出店(大阪府豊中市)から20年余りで全国出店を達成(1997年の沖縄県出店)しました。次がファミリーマートで、1973年の1号店出店(埼玉県所沢市)から約30年をかけて、北海道への出店(2006年)により全都道府県への出店を果たしました。それに対しセブン-イレブンは、1号店(東京都江東区豊洲)の出店は1974年で、2019年の沖縄県への出店までに45年を要しています。しかし沖縄県への初出店は14店同時オープンというドミナント出店でした。

 ちなみに、3社ごとに全国展開達成時の出店数がどうなっていたかというと、ローソンは6000店超、ファミリーマートは約1万2500店、セブン-イレブンは2万店超でした。

 この全国展開までのスピードと展開店舗数の違いに、セブン-イレブンの出店戦略の特徴がよく現れています。同社では「高密度集中出店方式」と呼んでいますが、いわゆる「ドミナント方式」による店舗展開です。