世の中の事象や人の身体や心、脳も含め、あらゆるものがデジタル化されつつある時代。未来に向けて私たちは何をすべきか。

「データドリブンな社会で求められる新しいリテラシーとは?」といった問いに対し、経済学者、データ科学者であり事業家でもある成田悠輔氏が語った講演の骨子をお届けする。

※本稿は、Japan Innovation Review主催の「第4回 データイノベーションフォーラム」における「特別講演:データドリブンな社会で求められる新しいリテラシーとは/成田悠輔氏」(2024年12月に配信)をもとに制作しています(文責:Japan Innovation Review)。

データドリブンな社会で求められる2つの力

 データドリブンな社会で求められる新しいリテラシーとは何か。私が考えるのは2つ、1つは妄想力、そしてもう1つはギャグ力というものです。

 どういうことかを解説する上で、ミームコインの代表格でもある「ドージコイン(DOGE)」についてお話します。

 ミームとは、インターネットで拡散しはやっている言葉やキャラクターのことです。ミームコインとは、こうしたミームをモチーフに発行された仮想通貨のことです。ドージコインは、一部でカルト的な人気を誇るDOGEと呼ばれる柴犬のミーム(キャラクター)を基にしています。

 一般的な仮想通貨では、何らかの思想や機能を伴うことが多いと思いますが、ミームコインにはなんの思想もありません。ただミームが好きな人たちが集まり、熱狂的なコミュニティーをつくって取引するわけです。

 取引するので当然値段がつくのですが、実はこのミームコインの時価総額は、約20兆円にもなるそうです(2024年11月時点)。

 このDOGEと並ぶほど重要なミームがあります。それが、米大統領ドナルド・トランプ氏と実業家のイーロン・マスク氏です。両氏ともミームコインのモチーフとなるだけでなく、自身も投資しているという話です。