取締役会は、企業の方向性の議論、中長期の戦略策定とその実行の監督など、企業価値向上に深く関わる重要な役割を担う。その実効性を高めるには、どのようにすればよいのか。横河電機でコーポレートガバナンス改革を経験し、村田製作所初の社外取締役の議長となった西島剛志氏に、企業価値最大化に貢献する取締役会の在り方について聞く。

※本稿は、Japan Innovation Review Forums主催の「第7回 取締役イノベーション」における「特別講演:社外の取締役会議長として果たす役割~村田製作所の企業価値最大化に向けて~/西島剛志氏」(2025年2月に配信)をもとに制作しています。

村田製作所のコーポレートガバナンス強化の取り組み

 村田製作所では2015年以降、コーポレートガバナンス体制の強化を加速させてきた。2016年に監査等委員会設置会社へ移行。社外取締役の割合を3分の1以上とし、株主に代わって取締役会が経営陣を監督する機能を重視することとした。また、2020年の社長交代に伴って、社長と取締役会議長の兼任を解消している。

 2024年には社外取締役の割合を50%以上と定め、初めての社外取締役の取締役会議長に西島剛志氏が就任。取締役会の実効性向上を担う指名諮問委員会、報酬諮問委員会も社内1名に対して社外3名過半で、両委員長は社外取締役が務める体制となっている。

 同社の取締役会における実効性向上の取り組み、社外の取締役会議長として留意している事項について西島氏が語った講演から、その骨子をお届けする。