写真提供:©Alexander Pohl/Alto Press via ZUMA Press/共同通信イメージズ

「特許」には企業の過去から現在に至るまでの発明・イノベーションの歴史が記されている。いずれも専門的な情報が多く、読み解くのは容易ではない。しかし、そこには企業や事業の価値、ひいては「未来」をも予測する貴重な情報が数多く示されている。本連載では『Patent Information For Victory ~「知財」から、企業の“未来”を手に入れる!~』(楠浦崇央著/プレジデント社)から、内容の一部を抜粋・再編集。知財力に優れた国内2社の事例を元に、特許戦略の最新事情を解説する。

 今回は、コマツが成長戦略に掲げている部品再生事業「リマン」(リ・マニュファクチャリングの略)と、建機モニタリングシステム「Komtrax」とのシナジーから、同社が狙う次の一手を分析する。

コマツ ③
次の一手は? IoTからDXへ、「モノ」から「コト」へ

■ 総仕上げは「リマン」「リビルド」事業の拡大

 ここからは、Komtraxの「次の一手」として 、コマツがどのようなことを考えているか、進めているか、特許情報を交えながらご紹介します。

 IoTという言葉がない時代に、建設機械のIoTを発明し、緻密な特許網を形成し建設機械のイノベーションをリードしてきたコマツですから、次の一手は気になりますよね。当然それは今回も、特許にしっかり表れているわけです。そのあたりを読み解いていきます。

 まずは、Komtrax関連の最新状況から紹介しましょう。2021年度の決算説明会資料p47(図87)に、2022年~2024年の中期経営計画、成長戦略が示されています。