中国では、バイトダンスはそのアルゴリズムやその他のツールのホワイトラベルを“ヴォルケーノエンジン(火山引擎)”というブランド名で1年以上前から売り出していたが、内部関係者から聞いたところでは、2021年4月に同システムをバイトプラス(BytePlus)のブランド名で西側の企業に販売するため、シンガポールでスタッフを雇い始めた。

 誰が作り誰が作っていないかを記録するユーチューブのアルゴリズムと同様に、ティックトックのアルゴリズムは複雑で、外部の人間にとっても多くの内部関係者にとってさえ、おおむね不可解なものだ。イギリスでティックトックの編集チームのチーフを務めるヤズミン・ハウにそれがどう機能するのか尋ねたところ、「それはアルゴリズムチームでさえ答えを出せない質問ですよ」と困惑していた。「とても精巧にできているんです」

 ただ、アルゴリズムに適した動画の作り方についてのヒントはある。「明るい照明のもとで撮影することです」とハウは言う。「そこそこまともな品質にすること。特別洗練されている必要はありません。人気の出るコンテンツの99パーセントはこのプラットフォームで作成されたもので、リアルな内容の動画です」

 ティックトックはアテンション・エコノミー(関心経済)にしっかりと根付いたアプリだ――つまり、ユーザーの興味を即座につかめなければ、すぐにはその先へ進めない。ハウはこう言う。「ユーザーとして最初の3秒で心をつかまれたら、たいてい最後までその動画を見てしまう。そしてそれがどんどん多くの人たちに広がっていくんです」

<連載ラインアップ>
第1回 前身アプリ「ミュージカリー」から継承したTikTokの「成長モデル」とは?
第2回 無名だった中国企業バイトダンスは、なぜ動画アプリ「フリッパグラム」を買収したのか?
第3回 群雄割拠のショート動画市場、中国版TikTok「ドウイン」を生んだ差別化戦略とは?
■第4回 人の注意力持続時間は8秒…それでも見続けてしまうTikTokの巧妙な仕掛けとは?(本稿)
■第5回 TikTokの「おすすめ動画」はなぜクオリティが高く、ユーザーの関心にマッチするのか?(11月13日公開)
■第6回 競合SNSのインフルエンサーに100万ドルを提供、TikTokの強気のスカウト戦略とは?(11月20日公開)

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