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ミュンヘンの「IAA Mobility 2021」で発表されたドイツの自動車部品メーカーZFのSDV(Software-defined Vehicle)

 電気自動車(EV)や自動運転など、何かと話題に事欠かない自動車業界。かつて日本の自動車と言えば、米国との間で貿易摩擦の原因とも言われるほどの強さを持ち、アジアで唯一の自動車大国とされてきたが、今や自動車の年間生産台数では中国が圧倒的に世界一。日本は米国に次いで第3位ではあるものの、第4位のインド、第5位の韓国に追い上げられているのも事実。

 人口減少で内需の期待感が徐々に失われる中、日本の自動車メーカーはどこに活路を求めるのか。また、地球環境に対する消費者の意識が高まる中、バッテリー式電気自動車(BEV)への完全置換は実現するのか。自動車産業の未来図について、日刊自動車新聞編集本部副本部長の畑野旬氏に話を聞いた。

自動車業界の3つのターニングポイント

――1929年の創刊から現在まで貫かれている日刊自動車新聞の編集方針について教えてください。

畑野旬氏(以下・敬称略) 大切にしているのは「解説性」と「代弁性」です。徹底的に取材を行い、税制改正や規制緩和についてなど、自動車業界として言いたいけれども、なかなか口にできないことも業界の代弁者として記事にします。また記者には、「検索しても出てこないような情報を取ってこよう」と言っています。

――自動車業界について報じてきた歴史の中で、ターニングポイントになった出来事は何ですか。

畑野 大きく3つあります。1つは自動車業界の再編です。

 かつては「400万台クラブ」といって、年間生産台数が400万台に達しない自動車メーカーは淘汰されると言われました。日産自動車とルノー、あるいはダイムラー・ベンツ(現メルセデス・ベンツグループ)とクライスラーといった大型の資本提携が行われたのはそうした流れを受けてのことです。日産とルノーの資本提携で、日産系列のサプライヤーとの取引関係を大幅に見直すといった荒療治が行われたことも記憶している方は多いでしょう。

 2つ目は、「自動運転」が表舞台に登場した「ITS*世界会議東京2013」です。「ITS世界会議」は欧州、米州、アジア太平洋という世界3地域を代表するITS団体が連携して毎年行う世界会議ですが、2013年に東京で開催された時に、「協調型運転支援と自動運転の将来」という公開ディスカッションで「自動運転」という言葉が登場しました。

*Intelligent Transport Systems=高度道路交通システムの略

 そして3つ目は、2016年のパリモーターショーにおいて、独ダイムラーAGのディーター・ツェッチェCEOが、「CASE」(Connected:つながる車、Autonomous:自動運転、Shared & Service:シェアリングとサービス、Electric:電動化)に言及したことです。個別のコンセプトは従前からありましたが、それらを組み合わせた「CASE」という言葉をツェッチェCEOが用いたことで、自動車業界の変化を象徴するキーワードになりました。