さいたま市情報統括監(CIO)・最高情報責任者の石﨑博幸氏(撮影:今祥雄)

 時事総合研究所が発表している「全国自治体DX推進度ランキング2023」において、全国1位を獲得したさいたま市。同ランキングは「DX推進体制」「サービスの向上・高度化」「セキュリティ・デジタルデバイド対策」「マイナンバーカードの交付状況」などを総合的に評価したものであり、まさしく自治体のDX推進状況を測る物差しといえるだろう。

 なぜ、さいたま市はDXが進んでいるのか。取り組みを始めた背景や推進する上でのポイントなどを、同市の情報統括監(CIO/最高情報責任者)としてDX推進を牽引し、総務省「地方自治体のデジタルトランスフォーメーション推進に係る検討会」にも参画している石﨑博幸氏への取材から考える。

コロナ禍を機に、以前から取り組んでいたデジタル化やその活用が加速

石﨑 博幸/さいたま市の情報統括監(CIO) 最高情報責任者

1986年さいたま市(当時は浦和市)に入庁。市税などの徴収事務や介護保険事業、情報政策部門を経て、現職の情報統括監(CIO)に就任。通算10年間にわたるデジタル部門の経験を活かし、行政手続のオンライン化やコロナ禍で発生したさまざまな課題に対応するなど、DX推進の陣頭指揮を執っている。また、総務省の「地方自治体のデジタルトランスフォーメーション推進に係る検討会」への参画など、多方面で精力的な活動を続けている。

 新型コロナウイルスによりDXが加速した。官民問わず、このようなケースが少なくない。さいたま市も例外ではなく、コロナの影響を少なからず受けた。当時の状況を石﨑氏は次のように話す。

「それまで当たり前に行っていた、市役所での業務や関連企業などへの訪問が難しくなりました。そのためZoomの導入や、自宅やサテライトオフィスでの就業を要望する声が、職員から直接届くようになりました」

 職員だけではない。政府が取り組んだ各種コロナ関連の給付金の申請においても、接触を避けるために電子申請の対応を可能にした。このように、さいたま市は2020年からDX推進を加速させていく。

 しかし実は、さいたま市はコロナ禍になる前からずっとDXを推し進めていた。それはなぜか。「市長、トップの存在が大きい」と石﨑氏は話す。さいたま市では、清水勇人市長が2009年から2024年現在まで長きにわたり市政をけん引していくなかで、「デジタル化推進」を重要施策として掲げてきたのだ。

 DXという言葉こそ使っていなかったものの、以前から庁内を横断するさいたま市ICT推進委員会といった組織や情報関連の専門部署として情報政策部(現在のデジタル改革推進部)を設置。全職員にPCなど情報端末を支給したり、データの利活用に向けたデータ基盤の整備をしたりした他、各種ツールの導入を進めていた。

 この結果、専門部署においては早くからテレワークができる体制となっていた。そのため自宅やサテライトオフィスでの就業という職員のニーズを実現することは「特に難しくはなかった」と、石﨑氏は振り返る。市長の号令の下、専門部署で行っていた取り組みを全庁に広める体制の整備進め、2020年11月には「さいたま市DX推進本部」を設置した。

出所:選ばれる都市を目指して~さいたま市のDX「01 推進体制」
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 以降は同本部が中心となり、各種DX施策を立案・推進していく。上記4つのテーマごとにWG(ワーキンググループ)をつくり、8つのDXコンセプトを掲げている。それが、「さいたまデジタル八策」だ(さいたまデジタル八策の詳細は、さいたま市のサイトなどを確認してもらいたい)。

URL:https://www.city.saitama.lg.jp/006/007/013/index.html

出所:選ばれる都市を目指して~さいたま市のDX「02 デジタル八策」
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