日本航空 カスタマー・エクスペリエンス本部 CX戦略部 戦略グループ主任の石川恭子氏

 JALグループでは、会社のあるべき姿を示した「JAL Vision 2030」達成に向け、「安全・安心」と「サステナビリティ」を軸に、移動を通じた「関係・つながり」を創造する企業へとシフトチェンジを図っているさなかだ。ではなぜ、航空会社にサステナブルな取り組みが必要となるのか。JALの利用客やビジネスパートナーにどのように理解、協力してもらうのか。CX戦略部 戦略グループの石川恭子主任に話を聞いた。

コロナ禍で気付いた「関係・つながり」を創造する自社の価値

JALが定めた「2030年に向けたJALグループのあるべき姿」(出所:JAL提供資料より)
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──グループのあるべき姿をまとめた「JAL Vision 2030」では、「安全・安心」と「サステナビリティ」を骨子としています。どのような背景から2つを重視することになったのですか。

石川 恭子/日本航空 カスタマー・エクスペリエンス本部 CX戦略部 戦略グループ主任

2019年、経験者採用にて日本航空入社。予約センターのフロントライン経験などを経て、2021年より現職。現在はカスタマー・エクスペリエンス本部 CX戦略部にて、サステナビリティ関連の対外発信等、JALグループの企業イメージ向上のためのコミュニケーション戦略を担当。

石川恭子氏(以下敬省略) きっかけの1つは、2019年より始まった新型コロナウイルス感染症による世界的パンデミックです。フライトの中止や減便が長期化する中で移動の価値に改めて向き合い、JALグループのあるべき姿を示す「JAL Vision 2030」が生まれました。

 コロナ禍で人の移動が制限されることによって、移動の重要性は改めて浮き彫りになりました。安全・安心な移動を提供することは航空会社の責務ですが、同時に私たちは移動によって「関係・つながり」を創造し、社会的・経済的価値を創り出す企業でもあります。今後も人とのつながりや地域活性化など多くの価値を生み出していくためには、環境や人を守る持続的な対応が欠かせません。そこで「安全・安心」と「サステナビリティ」を骨子としました。

──なぜ航空会社であるJALグループがサステナビリティを重視するのでしょうか。

石川 JALグループでは長い間、地球環境を守るためのさまざまな取り組みを行ってきました。JALグループが今後もサステナブルな移動をお届けするために、「JAL Vision 2030」でも、経営戦略の中でESG(Environment Social Governance)戦略を最上位に位置付けることになりました。