田中哲司演じる徳永政市助教授のモデル? 松村任三とは

 松村任三は安政3年(1856)、常陸国下手綱村(茨城県高萩市)で生まれた。矢田部より5歳年少で、冨太郎より6歳年長である。

 明治3年(1870)14歳のとき、貢進生に選ばれ、東京大学の前身のひとつである大学南校に入学した。

 当初、松村は法律を学んでいた。

 ところが、明治10年(1877)、22歳のとき、東京帝国大学付属の小石川植物園に就職した。

 植物学に転じた松村は、矢田部教授に師事し、矢田部とともに日本各地で植物採集を行なっている。

 冨太郎が植物学教室を訪れる前年の明治16年(1883)の12月に、助教授に任じられた。松村、27歳のときのことである。

 

今野浩喜演じる大窪昭三郎のモデル? 大久保三郎

 大久保三郎は、安政4年(1857)5月23日に生まれた。松村任三より1歳年少、冨太郎より5歳年上である。

 父親は、東京府知事も務めた幕臣の大久保忠寛(号は一扇)。

 明治4年(1871)、アメリカに渡り、ミシガン大学にて植物学を学んだ。明治9年(1876)、今度は渡英し、さらに学びを深めた。

 帰国後、明治11年(1878)に内務省および、宮内省で勤務している。

 そののち、明治14年(1881)に東京大学御用掛、植物学教場助手に、明治16年12月に助教授に任ぜられた。