駿府城の徳川家康像 写真/アフロ

 歴史上には様々なリーダー(指導者)が登場してきました。そのなかには、有能なリーダーもいれば、そうではない者もいました。彼らはなぜ成功あるいは失敗したのか?また、リーダーシップの秘訣とは何か?そういったことを日本史上の人物を事例にして考えていきたいと思います

2023年大河ドラマの主役・徳川家康

 2023年の大河ドラマは「どうする家康」です。主人公は、徳川幕府を開いた武将・徳川家康。戦国三英傑(織田信長・豊臣秀吉)の1人であり、これまで、小説や時代劇において、何度も主役として描かれてきた歴史上の有名人物と言えるでしょう。家康と言えば一般的には「狸親父」として知られ、陰険な策謀家のイメージも強いと思われます。

 ところが、そんな家康が、今回の大河ドラマでは「弱虫」として描かれています。妻子に会いたいがため、戦場から1人離脱しようとしたり、苦難に遭遇すると「どうしたら、ええんじゃ!」と絶叫したり、まるでダメな主君として描かれているのです。

 もちろん、大河「ドラマ」ですので、創作も良いですし、主人公をどのように描こうと演出・脚本家の自由ではあるのですが、余りに「現実」からかけ離れたキャラ造型だと「これは漫画か」と冷めてしまう視聴者もいるかもしれません。閑話休題。

 それでは、家康はどのようなリーダーシップでもって、戦国乱世を生き抜いてきたのでしょうか。