中国政府は昨年末に「内需拡大戦略計画綱要(2022~2035年)」を初めて打ち出し、消費喚起や需要拡大に一層力を入れようとしている。この政策はどう受け止められたのか。年末年始の人出増加や旅行需要の高まりを見ると、2023年の中国消費市場は予想以上に早いペースで回復する可能性を示している。
内需関連で初のグランドデザインが示された
中国国務院(内閣に相当)は昨年12月中旬に「内需拡大戦略計画綱要(2022~2035年)」(以下、「綱要」)を打ち出した。実は1998年や2008年にも国際市場という外部環境が厳しかった時期に内需拡大に力を入れる政策はあったが、今回は中長期的な視点から包括的な内容と具体的な施策を示すものであり、その重要性が明らかに違う。内需関連では初となるグランドデザインと言ってもよい。
「綱要」は生産、分配、流通、消費、再生産への投資の流れをもとに、消費、投資、発展、供給、流通、開放(外資の活用)、共同富裕、安全保障の8つの側面から、重点タスクと第14次5カ年期間中および2035年までの目標を示している(下表)。
言うまでもなく、「綱要」は消費活性化による経済の好循環を目標としている。消費拡大の鍵は、サービス消費(観光、育児、医療、ヘルスケア、スポーツなど)、新型消費(オンラインとオフラインの融合)およびグリーン消費(EVをはじめとする新エネルギー車、環境に優しい製品/サービス)にあると、明らかにしている。これらの分野における消費振興が大いに行われるだろう。
なお、消費拡大は外資企業にとっても追い風で、その動向を引き続き注目し、中国ビジネスを拡大させるチャンスをつかむべきだろう。