米商務省(写真:ロイター/アフロ)

 バイデン米政権がまもなく、中国半導体メーカーの長江存儲科技(YMTC)を含む30社以上の中国企業を事実上の禁輸リストに加えると、米ブルームバーグ英フィナンシャル・タイムズが12月14日に報じた。

「アンベリファイド」から「エンティティー」に

 米商務省が週内にもYMTCなどを米国輸出管理規則(EAR)に基づくエンティティー・リスト(EL)に追加するという。米国の安全保障・外交政策上の利益に反する企業などを指定するものだ。

 米国企業は商務省から許可を取得しない限り、リスト指定企業に対し米国の技術製品などを輸出することができなくなる。ただ、商務省は企業による許可申請を原則認めない方針だ。これまでに華為技術(ファーウェイ)や半導体受託生産の中芯国際集成電路製造(SMIC)がリストに指定され、それぞれのスマホ事業と半導体事業が打撃を受けた経緯がある。

 米商務省は2022年10月、YMTCなどを含む31の中国企業・団体を、最終用途・需要者が確認できない「アンベリファイド・リスト(未検証エンドユーザーリスト)」に指定していた。対象となった中国企業は一定の猶予期間内に米国の国家安全保障を脅かす活動に関与していないことを示す必要があった。だが米商務省は、中国企業がこれを証明できないと判断した。

 YMTCはNAND型フラッシュメモリーなどを手がける企業。23年1月から米下院外交委員会の委員長を務める予定の共和党議員マイケル・マコール氏は、YMTCをエンティティー・リストに指定するよう商務省に要求してきた。同氏は声明で「間違いなくYMTCはリストに指定されるべきだ。YMTCは中国共産党の軍隊を近代化している企業の1社だ。商務省産業安全保障局はリスト化を一層進め、パートナーや同盟国も参加させる必要がある」と述べた。