(写真:AP/アフロ)

 半導体の受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は12月9日、2022年11月の売上高が2227億1000万台湾ドル(約9940億円)となり、前年同月から50.2%増加したと明らかにした。22年1~11月の売上高は2兆713億3000万台湾ドル(約9兆2500億円)で、前年同期から44.6%増加した。

10~12月期のガイダンス、達成へ

 半導体市場は、インフレやリセッション(景気後退)への懸念、中国の新型コロナウイルス対策の混乱などを背景に低迷しているが、TSMCはこれに抵抗していると、米CNBCは報じている

 CNBCによると、TSMCは先に発表した業績見通し(ガイダンス)で、22年10~12月期の売上高が199億~207億米ドル(約2兆7300億~2兆8400億円)の範囲になると予想していた。このペースで進めばガイダンスの金額を達成できる見通しだという。TSMCの22年10月と11月の合計売上高は約141億米ドル(約1兆9300億円)となった。

 TSMCは、米アップルや米クアルコム、ソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導体設計大手アームなど、さまざまな企業向け半導体を受託生産している。

 香港のカウンターポイント・リサーチのアナリストであるデール・ガイ氏は、「多くの半導体企業の事業が大幅に減速する中、TSMCは順調だ」と述べている。

 アップルのiPhone 14 Pro用「A16」などのハイエンドスマートフォン向け半導体やクアルコム向け最新半導体がTSMCの業績向上に寄与しているという。TSMC は、ほぼ間違いなく世界で最も重要な半導体製造業者で、最先端半導体を製造する同社に依存する膨大な数の顧客を抱えているとCNBCは報じている。

半導体巡る米中の技術戦争

 一方、TSMCは半導体を巡る米中の技術戦争に巻き込まれている。 米国は、国内半導体生産の復活を目指し、先端半導体や半導体製造装置などの対中輸出規制を強化している。

 TSMCは22年12月6日、米アリゾナ州で現在建設中の工場近くで、2つ目の工場の建設を始めていることを明らかにした。総投資額は400億ドル(約5兆4800億円)で従来計画の3倍強になる。同日開催された式典にはバイデン大統領やアップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)などが出席した。バイデン大統領は、TSMCが米国の半導体製造分野で果たす重要な役割を強調した。アップルのクックCEOは「アップルはこの工場の最大の顧客になる」と表明した。

スマホ市場、正念場は23年前半

 CNBCによれば、TSMC の22年11月の売上高はアップルからの受注によって押し上げられた。だが、23年の受注が減少することをアナリストらは懸念している。中国の投資銀行、華興資本控股(チャイナ・ルネサンス・ホールディングス)のアナリストは「TSMCの力量が試されるのは23年前半だ」と指摘している。

 米調査会社のIDCは、23年の世界スマホ出荷台数が前年比2.8%増の12億7030万台になると予測している。22年の出荷台数予測である前年比9.1%減から回復する見通しだが、成長率は低いという。IDCのライアン・リース氏は「世界のスマートフォン市場は23年前半まで厳しい状況が続くと考えている」と述べている。進行中のマクロ経済環境と、それが及ぼす需要への影響を考慮して分析したという。