ベトナムに追加投資をするサムスン電子(写真:AP/アフロ)

 バイデン米政権が進める先端半導体の対中輸出規制を受け、企業が製造拠点の一部を中国から近隣のベトナムやインドへ移すことを検討していると、米CNBCが12月12日に報じた。

米国の技術や人材も規制対象

 国際会計事務所KPMGのパートナーであるウォルター・キッジパース氏は、「企業はサプライチェーン(供給網)を分散化することのメリットを認識している。最近の地政学リスクの高まりから、その動きが加速するだろう」と述べている。

 米商務省は2022年10月、先端半導体の中国への輸出を制限する措置を公表した。先端半導体以外にも、関連する米国製の半導体製造装置や人材なども対象に含め、これらを許可制にした。

 商務省は企業による許可申請を原則認めない方針で、半導体企業は事実上、自社の中国工場で米国の技術や人材を使った先端製品を生産できなくなる。バイデン政権は日本など同盟国にも同様の規制の導入を求める考えだ。

 CNBCによれば、オランダの半導体製造装置大手ASMLは、自社の米国従業員が中国の先端半導体工場に一部のサービスを提供できなくなったと述べた。

 一方で、半導体受託生産大手の台湾積体電路製造(TSMC)や韓国サムスン電子、韓国SKハイニックスは、米商務省から規制適用を1年間猶予された。3社は引き続き米国製の半導体製造装置を自社の中国工場に増設できる。しかしその期間は1年に限られる。