部分的な変革に限界を感じ、ITシステムの全面刷新をはじめとする、全社的なトランスフォーメーションに挑戦したイーデザイン損保。同社はどのような過程を経て、どのような思いを持ちながらデジタル戦略を推し進めてきたのだろうか。トランスフォーメーションに踏み切るに至った背景からプロジェクトの概要まで、同社の取締役社長の桑原茂雄氏に聞いた。

※本コンテンツは、2022年8月24日(水)に開催されたJBpress/JDIR主催「第3回金融DXフォーラム」の特別講演2「イーデザイン損保のDX戦略(インシュアテック保険会社への変革)」の内容を採録したものです。

新しい保険会社への変革が生んだ共創する自動車保険「&e(アンディー) 」

 国内の損害保険事業、生命保険事業、金融・一般事業、海外保険事業の4つで構成される東京海上グループ。国内の損害保険事業を担うのが、東京海上日動火災保険、日新火災海上保険、イーデザイン損害保険(以下、イーデザイン損保)の3社である。

 イーデザイン損保は2009年に設立された、ネット型自動車保険専門の会社だ。同社はITとビジネスの刷新やカルチャー変革などを含めた全社的なトランスフォーメーションを進め、2021年11月に「事故のない世界を目指す自動車保険『&e(アンディー)』」を発売した。

 「&e」の詳細に入る前に、まずは東京海上グループが取り組むデジタル戦略の全体像を見ておきたい。同グループは「これまでにない新しい保険会社への変革」を目指して4つの柱を掲げ、総合的に戦略を推し進めてきた。

①価値提供の変革(事前・事後領域への拡大、社会課題解決のDX)
②社内体制の変革(人の力とデジタル、ベストミックスの実現)
③デジタルケイパビリティの向上(デジタル開発体制、データ/AI活用、デジタル人材育成/全社員への展開)
④グローバルデジタルシナジー

 事故時の安心だけでなく、事故のない世界を実現する保険として誕生した「&e」。契約者には3cm四方の大きさのIoTセンサーが配られ、このセンサーを用いたさまざまなサービスを実現している。

「安全運転をサポートするための機能として、車に取り付けたセンサーとアプリで、急ブレーキや急ハンドルなどの運転傾向が分かる仕組みを備えています。同時に、安全運転を続けるとハート(ポイント)がたまり、プレゼントと交換できるリワード(報酬)のプログラムを採用しています。また『家族の運転も楽しみながら安全に』というコンセプトのもと、離れて暮らすご家族やご友人と一緒になって安全運転にチャレンジできるフレンド機能も用意しました。『&e』では事故のない世界・社会の実現に向けた、さまざまなプログラムが用意されています」

 また、契約者に配布されるIoTセンサーは、衝撃を検知するだけではなく、その前後数秒間の情報も自動で記録し、事故状況を動画で再現することが可能だという。万一の事故の際にも、事故担当者はアプリを通じて顧客に寄り添うことができる仕組みだ。

 桑原氏は「自動車保険は事故の際に安心して任せられることが最優先」と強調する。その上で「&e」には、卓越したUX/UI、スマホ完結、事故衝撃の自動検知などあらゆるプログラムを付加することで「安心」を高めた。これまでにない自動車保険のスタイルを構築している。