会員減、広告付き動画に本気の取り組み

 ネットフリックスは22年7月に、広告を付けて料金を抑える動画配信プランを23年初頭に導入すると明らかにした。これに関して同社は米マイクロソフトと提携する。マイクロソフトはネットフリックスに広告配信技術を提供するほか、広告販売でも協力する。

 この決定は、創業以来、コマーシャルのない動画サービスとして自社を売り込んできたネットフリックスにとって大きな方針転換だと、ウォール・ストリート・ジャーナルは伝えている。

 その背景には事業環境の変化がある。ネットフリックスが先ごろ発表した22年4~6月期の決算は、売上高が79億7000万ドル(約1兆1000億円)で、前年同期比9%増と、1桁の伸びにとどまった。純利益は同6%増の14億4100万ドル(約2000億円)だった。

 同社は22年1~3月期の業績発表で、会員数が3カ月前から20万人減少し、過去10年で初めてマイナスに転じたと明らかにした。4~6月期も3月末と比べ97万人減った。

 ネットフリックスが現在抱えている問題には、競合サービスとの競争激化や急激なインフレ進行による支出抑制などがある。また、顧客間で広がるアカウントの共有も事業成長の阻害要因だと同社はみている。

主力プランの半額程度か

 こうした状況で取り組むのが広告付き低料金サービスだ。ネットフリックスは現時点で新たに導入するプランの料金を明らかにしていない。だがブルームバーグ通信は22年8月26日、米国での料金が主力プランの約半額にあたる月7~9ドル(約970~1250円)になりそうだと報じた

 現在の米国での料金は、月9.99ドル、15.49ドル、19.99ドル(日本では990円、1490円、1980円)。同時に視聴できる機器の台数や画質の違いにより計3プランがある。このうち同時視聴機器が2台の「スタンダード」(月15.49ドル)の利用者数が最も多い。新たな広告付きプランは同プランの約半額になるとみられている。

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