EC需要減速、2四半期連続赤字

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンは20年から22年3月までに倉庫や仕分センターなどの物流拠点を数百カ所新規に開設し、同期間に従業員数を2倍の160万人超に増やした。この施策が奏功し、売上高は20~21年に60%以上増加し、利益は3倍近くに増えた。

 しかし、その後のEC需要は成長が鈍化している。消費者が対面での買い物に戻ったほか、急激なインフレ進行による消費の冷え込みなどが要因だ。

 アマゾンが先ごろ開示した22年4~6月期の売上高は、前年同期比7%増の1212億3400万ドル(約16兆6400億円)だった。

 4~6月期として最高を更新したものの、伸び率は3四半期連続で1桁にとどまった。このうち直営ネット通販事業の売上高が、508億5500万ドル(約6兆9800億円)で、同4%減少した。また、最終損益は20億2800万ドル(約2800億円)の赤字。2四半期連続の最終赤字だった。

出品者向けサービスでも新たな収益源

 アマゾンは出品者向けサービスでも新たな収益源を追加する。22年8月中旬には、同社が年末商戦期間中に出品者向け物流サービスの料金を引き上げると報じられた。物流コストの上昇を理由に、「ホリデーサーチャージ」と呼ばれる追加料金を初めて導入する。

 アマゾンはコスト削減策も進めている。22年5月には、余剰倉庫スペースの削減を計画していると報じられた。アマゾンは少なくとも1000万平方フィート(約92万9000平方メートル、東京ドーム約20個分)のスペースをサブリース業者を通じて賃貸しすることを目指している。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンは人員調整も行っている。新規採用を抑制することで、自然減による人員減少を促している。同社の決算資料によると、22年3月末時点で162万2000人だった世界従業員数(期間従業員を除く)は、22年6月末時点で152万3000人になった。3カ月間で10万人近く減少している。