(写真:ロイター/アフロ)

 米グーグルのロシア子会社がモスクワの裁判所に破産を申請したと、ロイター通信やインタファクス通信などが6月17日に報じた

銀行口座差し押さえでオフィス機能せず

 グーグルの広報担当者は声明で、「当局が銀行口座を差し押さえたことでロシアを拠点とする従業員の雇用と給与支払い、取引先への支払い、金融上の義務履行などが不可能になり、ロシアオフィスが機能しなくなった」と述べた。

 ロイターによると、グーグルはロシアで数カ月前から圧力を受けてきた。ロシア政府が違法と見なすコンテンツを削除しなかったことや、動画共有サイト「YouTube(ユーチューブ)」でロシア政府系メディアへのアクセスを制限したことなどを理由に制裁を受けていたという。

 米テクノロジーメディアのCRNは、グーグルのロシア子会社が2022年に罰金の支払いを3回命じられ、その合計金額が3000万ルーブル(約7000万円)だったと報じている。またグーグルとYouTubeはロシアテレビ局のチャンネルを遮断したが、これにより10億ルーブル(約24億円)の支払いを命じられた。全ロシア国営テレビ・ラジオ放送会社(VGTRK)が苦情を申し立てたケースでも10億ルーブルの支払いを余儀なくされた。

グーグル、ロシア向けサービス継続

 これに先立つ22年5月、米ウォール・ストリート・ジャーナルなどは、グーグルのロシア子会社が破産を申請する計画だと報じていた。同紙によると、グーグルはその時点で従業員の大部分をロシアから出国させた。グーグルのロシア従業員の大半は国を離れてロシア国外で働くことを選択した。多くはグーグルが大規模オフィスを構えるアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに移った。近いうちにグーグルはロシアの商業拠点を完全に手放し、ロシアでグーグルの従業員はいなくなる見通しだと同紙は報じていた。

 ただ、グーグルは今後も国外からロシア向けに、検索サービスやYouTube、メールサービス「Gメール」、地図サービス「グーグルマップ」などを提供し続ける方針だ。

ロシア政府、グーグルを締め出さず

 ロシア軍がウクライナに侵攻した22年2月24日以降、ロシア当局は米ツイッターのサービスへのアクセスを制限したり、米メタの「フェイスブック(Facebook)」と「インスタグラム(Instagram)」を遮断したりするなどしてSNS(交流サイト)の情報統制を強めた。

 グーグルはウクライナ侵攻後、ロシアで検索とYouTubeの広告を停止。モバイルOS「Android」向けのアプリストアでは有料アプリやサブスクリプション(定額課金)の提供をやめた。また、ウクライナ侵攻に関してYouTube上で偽情報を拡散したとし、政府系メディア動画の配信を全世界で停止した。

 こうした中でもロシア政府は、グーグルのサービスを締め出さない意向だ。ロイターによると、ロシアの情報政策に関する議会委員会副委員長であるアントン・ゴレルキン氏は、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで記者団に対し「グーグルには今のところ、メタやツイッターと同じ運命をたどるリスクはない」と語った。

 同氏は「サービス遮断は非常手段であり、グーグルとYouTubeは、まだこの合理性の境界を越えていない。だが、彼らはロシアとの情報戦争に関与している」とも述べたという。

 ロイターによると、YouTubeはロシアで約9000万人の利用者を抱える超人気動画投稿サービス。同国には類似サービスがあるものの、YouTubeに取って代わるような規模には至っていない。ロシアが今もYouTubeなどグーグルのサービスへのアクセスを容認している背景にはこうした事情もあると指摘されている。

 (参考・関連記事)「Googleロシア子会社が破産申請、社員の大半出国 | JDIR