アマゾンは20年8月、連邦航空局から商用ドローン配送サービスを運営するために必要な認可を取得した。これにより同社は、米物流大手のUPSのドローン事業「フライト・フォワード」と、米グーグルの持ち株会社である米アルファベット傘下でドローンメーカーの米ウイングに続く、3番目の認可取得企業となった。

 アマゾンはこれまで20以上の試作機を設計・開発してきた。同社のドローン最新機は、オペレーターの視界を越える範囲も飛行可能になる「検知・回避システム」を搭載しているという。同社は次のように説明している。

 「このシステムは、煙突のような静止物体を認識できるほか、水平方向にある飛行機のような移動物体も検知できる。障害物を特定すると、自動で進路変更し安全に回避する。ドローンが降下して荷物を顧客宅の裏庭に下ろす際は、周囲に人や動物、障害物がないことを確認する」(アマゾン)

ウォルマートやクローガーなど小売り大手も続々参入

 前述したとおり、グーグル系のウイングや、UPSも連邦航空局から認可を取得しており、すでに米国の一部地域で試験サービスを行っている。

 ウイングは19年10月、米物流大手フェデックス(FedEx)や米ドラッグストアチェーン大手のウォルグリーン、地元の小売業者と提携し、バージニア州で宅配荷物や市販薬、スナック菓子、文房具などを届けるサービスを開始した。

ウイングのドローン配達サービス

 UPSは19年3月、ノースカロライナ州の医療機関と提携して医療用品を病院に運ぶサービスを開始した。20年5月には、米ドラッグストアチェーン大手CVSヘルスとも提携し、フロリダ州の高齢者居住地区に処方薬を届けるサービスを始めた。

 フォックス・ビジネスによると、米小売り大手ウォルマートは20年から、ドローン技術の米スタートアップ企業のDroneUp(ドローンアップ)と連携し試験運用を行っている。22年5月にはこのサービスをフロリダ州やテキサス州など6州の400万世帯に拡大する計画を明らかにした。

 米スーパーマーケットチェーン大手のクローガーは21年5月にオハイオ州で食料品の試験配送を行った。フェデックスは大型ドローン開発の米スタートアップ企業エルロイ・エアー(Elroy Air)と連携し、23年に試験配送を始める計画だ。

 (参考・関連記事)「グーグルの「空の宅配」、物流に変革もたらすか | JDIR