kindle端末とAmazon.cnロゴ(写真:ロイター/アフロ)
米アマゾン・ドット・コムが中国国内での電子書籍サービス「Kindle(キンドル)」から撤退すると、ロイター通信や米ウォール・ストリート・ジャーナルなどが報じた。
中国の「キンドルストア」停止へ、端末販売も終了
アマゾンは2022年6月2日にキンドル専用端末の中国小売業者向け出荷を停止した。中国での電子書籍配信事業「キンドルストア」は1年後の23年6月30日に停止する。利用者はその後も購入済み書籍をダウンロードできるが、24年6月30日以降はできなくなる。また、モバイル端末用の専用リーダーアプリは24年に中国のアプリストアから削除する。22年1月1日以降に購入されたキンドル専用端末については返品に応じるとしている。
アマゾンはこの決定を、中国の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の自社アカウントで明らかにした。ロイターによると撤退理由は、あくまでも「事業戦略の重点分野の調整」としており「中国政府からの圧力や検閲」を否定。理由の詳細は明らかにしていないという。
アマゾンは19年7月に中国国内向けの「マーケットプレイス」事業から撤退した。この時も具体的な理由を明らかにしなかったが、同国市場におけるシェアの低さが要因とみられている。
当時の中国電子商取引(EC)市場は、最大手アリババ集団のシェアが58.2%、2位の京東集団(JDドットコム)が16.3%。この2社で同国EC市場の4分の3を占めていた。これに対しアマゾンのシェアは1%未満で、順位は7位にとどまっていた。アナリストらはアマゾンの中国事業について、「儲からない」「成長しない」「競争力がない」と指摘していた。
キンドル端末、シェア1位も市場規模縮小
ウォール・ストリート・ジャーナルが引用した香港カウンターポイント・リサーチのデータによると、アマゾンのキンドル専用端末のシェアは中国で1位。だが、スマートフォンやタブレット端末の技術向上に伴い、電子書籍専用端末の市場規模は縮小している。華為技術(ファーウェイ)などの国内メーカーが製造した次世代デバイスとの競争も激化しているという。
21年の中国電子書籍端末市場におけるキンドル端末のシェアは65%だった。キンドルの中国版サービスには70万タイトル以上の電子書籍があり同国内で最大。だが、21年の電子書籍端末の販売台数は前年比12.5%減の210万台にまで落ち込んだ。22年も減少が見込まれると、カウンターポイントのアナリストは指摘している。
収益性の高い事業に注力
ウォール・ストリート・ジャーナルなどによると、アマゾンの中国事業で今後残るのは、「Amazon Global Store(アマゾン・グローバル・ストア)」と呼ばれる越境ECサービスや、広告サービス、物流サービス、クラウドサービスなどとなる。
前述した通りアマゾンは19年に、中国事業者の商品を同国の消費者にネット販売する「マーケットプレイス」事業から撤退した。しかし、同国のECサイト「Amazon.cn」は存続しており、中国の消費者は米国や英国、ドイツ、日本など海外からの商品を購入できる。また、中国の業者はアマゾンを通じて国外の顧客に商品を販売できる。アマゾンはクラウドサービスなどのより収益性の高い事業にも注力していく。
アマゾンの広報担当者は電子メールの声明で、「私たちは中国の顧客に引き続き力を注ぎ続けている。中国での事業ラインアップにより、顧客に価値を提供できる分野で革新と投資を続けていく」と述べた。
(参考・関連記事)「アマゾンの中国事業は失敗に終わったか | JBpress」






