アマゾンではEC(電子商取引)商品の即日・翌日配達拡充を目指し物流網を拡大している。カナダ物流コンサルティング会社MWPVLインターナショナルによると、アマゾンは発送センターや仕分けセンター、宅配ステーションなど全米で過去2年間に450カ所以上を新設した。
また世界では19年末以降、約80万人を新規雇用。21年12月末時点の世界従業員数は160万8000人となった。米国では110万人超の従業員を抱え、米ウォルマートに次ぐ第2位の雇用主となっている。
CNBCによると、アマゾンの米国物流施設で働く人の数は75万人。スタテン島のJFK8では約8300人が働いている。
こうした背景があることから、今回のJFK8の投票結果は広範に影響を及ぼし、膨大な数の同社物流施設と配送ネットワークで同様の動きが広がる可能性があるとCNBCは報じている。
他の2拠点でも労組結成投票
米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンは今回のJFK8での投票について、「会社と直接関係を持つことが従業員にとって最善であると信じており、スタテン島での投票結果に失望している」との声明を出した。また「NLRBが不適切な影響力を行使した」とも主張。NLRBに対する異議申し立てを含む対応を検討していると明らかにした。
一方、ニューヨークのスタテン島では、1500人が働く物流施設「LDJ5」でも22年4月25日から投票が始まる。また約6100人が働くアラバマ州ベッセマーの「BHM1」では再投票の開票が行われている最中。BHM1では21年4月に反対が賛成を大差で上回り、労組結成が否決された。だがNLRBはその後、アマゾンが投票期間中に労働法に違反したとし、やり直しを命じていた。
モルガン・スタンレーのアナリストは、アマゾンの物流施設で組合に加入する人が1%増えるごとに、同社の年間営業費用が1億5000万ドル(約184億円)増えると試算している。
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