専門家が予測するテスラのドイツ工場における2022年の年間生産台数は10万台超。ただ、テスラは最終的にここで1万2000人を雇用し、年間50万台を生産したい考えだ。

フォルクスワーゲンとの競争激化へ

 ウォール・ストリート・ジャーナルなどによると、テスラはこれまで欧州で熱心な支持者を獲得してきた。しかし今後はより競争の激しい状況に直面するとみられている。たとえば、最初の量産EVでソフトウエア開発に苦戦していた独フォルクスワーゲン(VW)はすでに問題を克服し、テスラに次ぐ世界第2位のEVメーカーになった。

 ロイターによると、欧州EV市場におけるフォルクスワーゲンのシェアは25%。これに対しテスラは13%。

新たなサプライチェーン問題

 また、テスラにとって懸念材料となるのはロシア軍によるウクライナ侵攻の影響だとも言われている。世界的な半導体不足などサプライチェーン(供給網)の混乱で多くのメーカーが生産台数を伸ばせない中、テスラは独自の設計・生産体制で混乱を回避してきた。

 しかし、テスラもドイツメーカーと同じサプライヤーから部品供給を受けている。ウクライナ侵攻による新たなサプライチェーン問題は、テスラと言えども基本的に回避しづらいと指摘されている。

 米調査会社S&Pグローバルの自動車部門は、ロシアのウクライナ侵攻後、22年の世界自動車生産台数見通しを8160万台に下方修正した。先の予測から260万台減らしている。S&Pグローバルのエグゼクティブディレクター、マーク・フルソープ氏は「最悪の場合、22~23年に最大400万台減少する可能性もある」と述べている。

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