テスラのイーロン・マスクCEO(写真:picture alliance/アフロ)

 米テスラは1月2日、2021年における電気自動車(EV)の年間販売台数が前年比87%増の93万6172台となり、過去最高を更新したと明らかにした。テスラは21年初頭、EV販売が今後数年間、平均50%の伸びで推移するとの見通しを示していたが、21年はこれを大きく上回った。

テスラの伸び突出、上海工場が輸出拠点に

 米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、21年の年間販売台数は市場予想の89万7000台も上回っている。また、英調査会社のIHSマークイットによると、21年の世界乗用車販売台数は前年比3%増にとどまった。サプライチェーン(供給網)の混乱で多くの自動車メーカーが販売台数を伸ばせない中、テスラの伸びは突出しているという。

 テスラの車種別の年間販売台数は小型車「モデル3」と小型SUV「モデルY」の合計が前年比2.1倍の91万1208台。この2車種で、全体の97%を占めている。一方で、高級セダン「モデルS」と高級SUV「モデルX」の合計は同56%減の2万4964台にとどまった。

 21年における全車種の合計生産台数は93万422台だった。クレディスイスの推計によると、このうち半分以上を、19年末に稼働した中国・上海の完成車工場で生産した。テスラは20年10月、同工場で生産したモデル3をドイツやフランス、イタリア、スイスなど欧州10カ国以上に輸出すると明らかにしていたが、上海工場は現在、日本などアジアも含む全世界に向けたテスラの主要輸出拠点になっている。

自社で設計・開発する垂直統合型

 一方で世界的な半導体不足が自動車産業に深刻な問題をもたらしており、テスラも影響を受けている。だが、同社は独自の設計・生産体制を築いており、他の自動車メーカーが直面しているような混乱を回避したと、ロイターは報じている

 ロイターによると、テスラは品薄の半導体を代替品に置き換えて生産への影響を抑えた。独フォルクスワーゲン(VW)のヘルベルト・ディースCEO(最高経営責任者)は、「新たな半導体に対応させるために、わずか2~3週間でソフトウエアを書き換えるテスラの能力は見事だ」と評価しているという。

 競合自動車メーカーが部品メーカーに大きく依存しているのに対し、テスラはより多くのハードウエアやソフトウエアを自社で設計・開発している。イーロン・マスクCEOは、「当社は他社に比べてあきれるほど垂直統合型だ。複雑なソフトウエアのほとんどを自社開発しており、それらが当社の“走るコンピューター”で実行されている」と説明している。

 ロイターによると、テスラではプリント基板や運転支援システム用の半導体も社内で設計している。自動車用シートやバッテリーセルなどの部品も自社開発しているという。

半導体メーカーと直接取引

 20年、新型コロナの感染拡大とロックダウン(都市封鎖)措置による需要低下を受け、多くの自動車メーカーが半導体の発注量を減らした。だが、テスラは自社EVの需要急増を予測し、生産計画を縮小しなかった。こうした施策によって半導体危機を回避できたという。

 多くの自動車メーカーが、半導体の供給を部品メーカーに頼っているのに対し、テスラは半導体メーカーと直接取引している。このことも同社が素早い行動を取れた要因だと、専門家は指摘しているという。

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