テスラ、独ギガファクトリー(写真:picture alliance/アフロ)

 電気自動車(EV)大手の米テスラが、ドイツ・ベルリン郊外に建設した欧州初の工場「ギガファクトリー」で正式に生産を始めた。米ウォール・ストリート・ジャーナルロイター通信などが3月22日に報じた。

マスクCEO、躍りながら車両引き渡し

 開所式にはドイツのショルツ首相も出席し、「自動車業界の変革と未来を表している」と工場を称賛した。この日、テスラが披露したのは同工場で生産した小型SUV(多目的スポーツ車)「モデルY」。イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は音楽に合わせて踊りながら最初の顧客30人に車両を引き渡した。

 ドイツの経済・気候保護大臣で緑の党の共同党首であるロバート・ハーベック氏は、正式な承認が完了する前に工場の建設を開始したテスラの「大胆な企業文化」を称賛した。 最終的な承認が得られなかった場合、テスラは建物を取り壊し、土地を元の状態に戻す必要があったという。ハーベック氏は「本日の生産開始はこの地域にとって特別な日であり、ドイツのモビリティ変革にとっても特別な日」とし、「EVへの移行は、石油輸入からの脱却に向けた新たな一歩だ」と述べた。

欧州で競争力高められるか

 新工場の場所は、ブランデンブルク州グリューンハイデ。名称は「ギガファクトリーベルリン・ブランデンブルク」。完成車の組み立て拠点としては米カリフォルニア州フリーモント、中国・上海に次ぐ3カ所目。また、米テキサス州オースティンにもEV工場を建設中だ。

 テスラはこれまで米国や中国で生産したEVをドイツやフランス、イタリア、スイスなど欧州10カ国以上に輸出してきた。ドイツの新工場によって今後はコストを抑えることができ、独BMWなどの競合に対し競争力を高められる可能性があると、専門家はみている。