欧米でアプリ規制続々と
アップルと米グーグルは、有料アプリに対し自社の決済システムを利用するよう義務付けており、アプリ開発者から課金手数料を徴収している。こうした商慣行を巡り2社は世界中で規制当局からの監視や訴訟といった問題に直面している。
欧州委員会は20年12月、米IT(情報技術)大手を念頭に置いたデジタル規制法案を公表した。その1つである「デジタル市場法」は、自社製品・サービスの優遇などを禁じたり、企業買収の際の事前通知を義務化したりと、巨大企業による競争阻害行為の抑止を狙っている。スマホ標準搭載アプリの削除などを要求する可能性もあり、2社が影響を受けるとみられている。
米国では21年7月に37州・地域の司法長官がグーグルを反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提訴した。司法長官らはアプリ開発者との契約や技術的障壁などを通じて競争を阻害したと指摘。開発者に課している原則30%の手数料支払い義務によって、消費者への料金が割高になっていると批判した。
また、米議会上院の司法委員会は22年2月3日、アプリ市場におけるアップルやグーグルの支配力を抑制するための法案を可決した。アップルやグーグルなどがアプリストアで自社決済システムの利用をアプリ開発者に義務付けることを禁止する。
韓国、世界初の決済強制禁止法
韓国では、電気通信事業法の改正案が21年8月31日の国会本会議で可決・成立し、文在寅大統領の署名を経て同年9月に施行された。米グーグルやアップルがそれぞれのアプリストア内で、アプリ開発者に対し自社決済システムを利用するよう強制することを禁じている。アプリ決済の利用強制を包括的に禁止する法律は世界初。対応を迫られたアップルは22年1月、外部決済を容認する意向を同国の通信当局に伝えた。
グーグルも韓国当局に対し、外部決済の容認を表明。だが同社は「利用者が代替決済システムを選択した場合、開発者はグーグルに対し決済金額の11%を支払わなければならない」と条件を付けた。つまり、開発者が自社決済を用意したとしても、料率は低くなるが、手数料そのものを回避することはできない。
この計画に対し韓国の通信規制当局は22年2月3日、開発者に課される手数料が4%ポイントしか下がらないと指摘。アップルの計画についても「具体性に欠ける」とし、2社のコンプライアンス(法令順守)計画には改善が必要との認識を示した。
(参考・関連記事)「アップル、米議会のアプリストア規制法案に反論 | JDIR」