販売額に基づくデータによると、上位10社にはウォルマートのほか、米スーパーマーケットチェーン大手クローガー、米会員制卸売り大手コストコ・ホールセール、ウォルマート傘下の会員制スーパーであるサムズ・クラブ、米ディスカウントストア大手のターゲットなどが入る。Amazon.comとホールフーズのシェアはそれぞれ1.3%と1.1%で、順位は12位と13位だった。
競争は至る所にあるとCNBCは報じている。ウォルマートやターゲット、クローガーなどの小売大手は新型コロナの感染拡大を背景にオンライン販売の拡大に力を入れた。一方、宅配代行大手インスタカートやウーバーテクノロジーズの料理宅配代行事業ウーバーイーツ、料理・食料品宅配大手のドアダッシュ、超速宅配サービスのゴーパフなどは、アマゾンの得意分野である即時配達分野への投資を拡大している。
実店舗売り上げ、2年前から減少
アマゾンが先ごろ公表した年次報告書(FORM10-K)を見ても、食品小売事業の成長が鈍化していることが分かる。
ホールフーズやレジ無しコンビニエンスストアのアマゾンゴー、食品スーパー「Amazon Fresh(アマゾン・フレッシュ)」などの実店舗の21年売上高は計170億7500万ドル(約1兆9600億円)。前年比で5.2%増だったが、2年前と比べると0.7%減少した。21年のアマゾンの全売上高、前年比約22%増の4698億2200万ドル(約54兆円)に占める比率はわずか3.6%だ。
CNBCによると、創業者のジェフ・ベゾス氏が最高経営責任者(CEO)を務めていたころ、「アマゾン帝国」の一部である食品小売事業について、株主はあまり心配することはなかった。同社の株価は、ECとクラウドサービスの成長に後押しされ、過去5年間でほぼ5倍になっていた。
しかしベゾス氏の後任としてアンディ・ジャシーCEOが就任した21年7月から状況が変わった。その間に株価は約13%低下。CNBCの別の記事によると、アマゾン株は21年にわずか2.4%の上昇にとどまり、米アップルや米メタ、米ネットフリックス、米アルファベット、米マイクロソフトなどの他の米テック大手の中で最も低い上昇率だった。
こうした株価パフォーマンスの悪化は「投資家に、彼らが嫌いなものを探し始める理由を与えるかもしれない」とCNBCは報じている。米ロングボウ・アセットマネジメントのジェイク・ダラーハイドCEOは「アマゾンはクラウド、EC、エンタメがすべて。同社にとって食料品ビジネスは高くつく趣味のようなものだ」と指摘している。
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