クラウドと広告がEC事業の赤字補う
一方、米CNBCは、「アマゾンは過去4年で最も低成長を報告したものの、投資家は他の部分で安心材料を見つけた」と報じている。
アマゾンのクラウドサービス事業「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」と、今回初めて開示した広告事業の業績が素晴らしかったとCNBCは指摘する。
AWSはコンピューター資源を企業などに貸し出すもので、計算能力のほか、ストレージ、データベース、ネットワークなどの機能も提供している。同事業の21年10~12月期における売上高は前年同期比約40%増の177億8000万ドル(約2兆500億円)だった。その営業利益は同49%増の52億9300万ドル(約6100億円)で、EC事業の赤字を相殺した。
アマゾンの広告事業、ユーチューブ上回る
そしてアマゾンは今回の決算で初めて広告事業の業績を開示している。その売上高は前年同期比32%増の97億1600万ドル(約1兆1200億円)で、伸び率は米グーグルの広告事業とほぼ同じ。高利益率のクラウドサービスと広告サービスがEC事業の減速を補い、アマゾン全体の営業損益を黒字化するのに寄与したと、アナリストは話している。
またロイター通信によると、アマゾンの広告事業の売上高は21年通年で311億6000万ドル(約3兆5900億円)に上り、米グーグル傘下の米ユーチューブの21年広告収入288億ドルを上回った。ロイターは独スタティスタのデータを基に、世界の新聞年間広告費は295億ドルだとも報じている。
一方、アマゾンのアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)は主力のEC事業について、「労働力の供給不足とインフレ圧力によって費用が上昇し、オミクロン株感染拡大の影響で問題は今も続いている」と説明。ただ「短期的な問題はあるものの、私たちは引き続き楽観的だ。パンデミックは収束に向かっており、今後のビジネス展開を楽しみにしている」とも述べ、事業回復に自信を示している。
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