ただ、こうした状況下でもアップルは好調だ。21年10~12月期のiPhoneの出荷台数は8490万台で、1年前同様にサムスンを上回って首位に立った。アップルの21年10~12月期のシェアは23.4%。これにサムスン(シェア19.0%)とシャオミ(同12.4%)が続いた。

 iPhoneの同四半期における出荷台数は前年同期比2.9%減少した。ただし、これは前年に発売した「iPhone 12」の記録的な販売実績の反動とみられる。

 IDCは「(アップルの出荷台数は)前年同期比でわずかに減少したものの、再びサムスンを上回りトップに躍り出た。サプライチェーンにおけるアップルの強みがこれまで以上に発揮された」と分析。「21年10~12月期におけるアップルの出荷台数の多くは同年9月に発売したiPhone 13であり、iPhoneシリーズ全体の平均販売価格が大幅に引き上げられた」と指摘する。

アップル、中国市場が業績向上の原動力

 アップルが1月27日発表した21年10~12月期決算は、売上高が前年同期比11%増の1239億4500万ドル(約14兆3100億円)、純利益は同20%増の346億3000万ドル(約4兆円)だった。売上高と純利益がともに四半期ベースで過去最高を更新した。

 全体の約6割を占めるiPhoneの売上高は同9%増の716億2800万ドル(約8兆2700億円)と好調だった。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アップルは決算発表の説明会で「21年10~12月期は前四半期に比べて供給制約を受けた」と認めた。だが同紙は、「ハードウエア業界でアップルほど財務力と経営・運営力を兼ね備えた企業は他になく、716億ドルのiPhoneを販売するのに十分な部品を調達できた」と指摘している。

 同紙は「同業者の多くが部品と物流資源を確保するために支出を増やす中、アップルはうまく最終利益を伸ばすことができた。同社の(サプライチェーンへの)影響力が奏功した」とも報じている。

 アップルの業績は世界最大のスマホ市場である中国でも好調に推移したようだ。21年10~12月期における中華圏(香港、台湾を含む)の売上高は前年同期比21%増の257億8300万ドル(約2兆9800億円)で、全売上高の伸び率(11%)を大きく上回った。中華圏はアップルの全売上高の約2割を占めている。

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