凸版印刷株式会社 DX デザイン事業部事業部長 執行役員 柴谷 浩毅氏

全社的なデジタル推進組織の設置によりDXが加速

 1900年の創業以来、“印刷”を通して情報や文化の発展に貢献してきた凸版印刷(以下、トッパン)。近年は、その印刷技術によって進化した印刷テクノロジーをベースに「Digital & Sustainable Transformation」を中期経営計画のキーコンセプトとして掲げ、DXとSXによる持続可能な社会の実現と企業価値の向上に取り組んでいる。

 2020年度には、全社横断型のDX推進組織である「DXデザイン事業部」が新設され、デジタル変革への取り組みが本格化された。柴谷氏は、その経緯を次のように説明する。「90年代からインターネットモールを作ったり、2001年にはチラシをインターネット上で見られるサービス『Shufoo!』の提供を開始したりと、当社は割と早期からデジタルに取り組んできました。ところが、スマホをはじめとするデジタル化の加速の影響を受け、2017年にペーパーメディア関連事業の業績が急激に悪化してしまった。それを機に、同年の10月からデジタルに携わっていたメンバーが定期的に集まって、基本的なビジネスの考え方を見直しました」

 そのプロジェクトでまとめた内容を、当時の社長である金子眞吾氏と経営企画本部長(現・代表取締役社長)であった麿秀晴氏に報告したことがきっかけで、2018年、情報コミュニケーション事業本部にデジタルビジネス開発本部が新設され、また全社的なデジタル推進機能として、経営企画本部にデジタルビジネスセンターを立ち上げることとなった。

 柴谷氏は、「最初は“デジタルなんて、ウチには関係ないんじゃない”と言っていた事業部門もありましたが、経営トップがDXの重要性を発信し続けたことで2年もたつと当事者意識が芽生え、ほぼ全ての事業部でデジタルに取り組むようになりました。そうなると今度は、それぞれが小さな取り組みをするよりも横断型で統合したほうがよいということになり、“DXデザイン事業部”ができました。それまで私が経営企画本部でデジタルの全社推進をしてきた流れで、事業部長を仰せつかりました」と、本格的にデジタル推進に携わることになった経緯を語る。