コンテナ不足も物流停滞の大きな要因となっている。コロナ禍前に1個2000ドル(23万円)以下だった53フィートコンテナの価格は現在2万ドル(約230万円)に跳ね上がっている。だが、アマゾンは中国で自社専用コンテナを製造している。海運の専門家によると、アマゾンは過去2年に約5000~1万個のコンテナを中国で製造し、米国へ運んだ。
アマゾンが配送に充てる費用は19年時点で380億ドル(約4兆3000億円)以下だったが、20年には610億ドル(約6兆9000億円)以上に増加した。米SJコンサルティング・グループによると、アマゾンが電子商取引(EC)事業で取り扱う荷物のうち、自社便で運ぶ比率は19年時点で47%だった。これが現在は72%と大幅に増えているという。
中国社のEC商品、大型船や航空機で大量輸送
アマゾンは、中国の小売業者がアマゾンの米国ECサイトで販売する商品を大型輸送船で運んでいる。15年に「Beijing Century Joyo Courier Service(北京世紀卓越快逓服務)」という中国子会社をフォワーダーの1種である非船舶運航業者として中国の運輸省に登録した。これによりアマゾンは中国からの海上貨物輸送業務が可能になった。
この子会社は自ら輸送船を保有しないが、通関や書類手続きなどを行って貨物輸送を取り扱っている。米国の海上貨物監査サービス企業オーシャン・オーディットによると、こうしたアマゾンの業務は、船腹(積み荷スペース)の予約や、港から倉庫までの陸上輸送などと多岐にわたる。同社は海運業者や外部の物流業者が行う一連の業務を一手に引き受けるサービスを構築していると、オーシャン・オーディットは指摘する。
一方、アマゾンは利益率の高い商品を航空貨物機で輸送している。21年8月には15億ドル(約1700億円)を投じて建設していた航空貨物施設「Amazon Air Hub(アマゾン・エアーハブ)」がケンタッキー州に完成し、業務を開始した。現在アマゾンの貨物機「Amazon Air」は約75機ある。これを22年8月ごろまでに80機超にし、22年末までには85機超に増やす計画だ。
アマゾンは21年10月下旬、年末の繁忙期に向けて物流体制を強化したと発表した。自社物流ネットワーク内で入港地を5割増やしたり、海上輸送業者から物流倉庫を追加確保したりしてコンテナ処理能力を2倍にした。同社グローバル・デリバリー・サービス部門上級副社長のジョン・フェルト氏は「顧客ニーズとサプライチェーンおよび輸送のバランスを保つため、数カ月かけてこの問題に取り組んできた。毎年サプライチェーンと物流網に投資をしているが、今年は規模を拡大した」と説明している。