SDGsにおける日本の強みはどこにある?

 現在はSDGsに取り組む企業も増えつつあり、表彰制度も始まっています。表彰の審査員も務める夫馬さんは、受賞することの多い企業として、花王と丸井グループを挙げます。いずれも社長がSDGsやサステナビリティに興味を持ち続け、早期から危機感を持って取り組んでいるのです。

 夫馬さんは、そうした企業にはサプライチェーンを完全に把握してきているという特徴があると話します。「取引の原材料や部品の出所を把握していないと、何が自分たちを取り巻く課題なのかをつかむことすら難しいですが、サプライチェーンを把握することで、自社に今、どのようなリスクがあるのか、逆に何をすれば他社に先んじることができるかが見えてきます」

 特に、日本企業はいったん本気でスイッチが入った時の「やり切る力」が高いという強みがあります。全社一体の結束力で、覚悟を持ってやり切るところは日本の企業、日本の文化の強みなのです。

 日本人は真面目なので、社会通例になると全員のベクトルがそろって進んでいくという特性もあると夫馬さんは話します。確かに、コロナ禍における行動自粛やマスクの着用の実施率の高さは、世界に類を見ません。「SDGsが社会通例になれば、むしろ、それをやってないのは恥ずかしいと考える企業が増えていきます。そして正しい方向にベクトルがそろえば非常に速い速度で進展していくと思います」(夫馬さん)

 さらに夫馬さんは、「先んじて動いてる中小企業も増えていますが、そうした企業の方々は今、非常に生き生きとしていますし、業績も良いのです。SDGsに取り組むことで取引先からの支持が得られ、他社に依頼していた分もお願いしたいと言われたという話をよく聞きます。取り組みを見ている人は多いので、より早く取り組んで未来も存続している企業になってほしいと思います」とまとめられました。

「SDGs前夜祭」の見どころはここ!

 最後に、JBpressが12月7日に配信した動画番組「SDGs前夜祭」についてお聞きしました。この番組は「今、ビジネスパーソンが知っておきたいSDGs」をテーマに、SDGsを知ってもらうための入門編とも言うべき内容であり、夫馬さんが専門家として登場します。さらに、スペシャルゲストとしてミルクボーイさんが出演します。

「SDGsをまず知っていただくことを意識したコンテンツになっていますので、誰でも『へえ、そうなんだ』と思っていただけると思います。先ほど自分で調べることが大事と言いましたが、きっかけがないと何を調べればいいのか分からないと思いますので、そのきっかけになるような番組です。身近な話題を取り上げていますので、SDGsの知識が全くなくても楽しめると思います」(夫馬さん)