SDGsやサステナビリティという言葉が徐々に普及し、実際に取り組む企業も増えてきています。しかし、まだまだ取り組めていない企業が多いのではないでしょうか。そこで、SDGsおよびサステナビリティに関するコンサルティングを中心に広く活動されている夫馬賢治さんに、SDGsの日本の状況や取り組む際のポイント、そしてJBpress World内で開催した「SDGs前夜祭」で夫馬さんが出演する番組の見どころについてお聞きしました。

ゲストにミルクボーイさんをお迎えして、“今、ビジネスパーソンが知っておきたいSDGs”をテーマに、SDGsを学ぶきっかけとなる番組を12月7日に配信しました。
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今から取り組まないと仕事がなくなる?

 株式会社ニューラルの代表をお務めの夫馬賢治さんは、2010年から2012年までMBA取得のためにアメリカへビジネス留学されており、その際にSDGsとサステナビリティの大きな潮流を知ったといいます。ところが、日本に帰国した途端、そうした言葉を全く耳にしない状況にがくぜんとし、2013年にニューラルを立ち上げられました。

株式会社ニューラルの代表取締役CEO 夫馬 賢治さん

「SDGsは2015年に国連サミットにより採択され、日本でも認知が広がってきましたが、サステナビリティはさらに以前から世界的に定着していました。そのため、海外ではわざわざSDGsに呼び方を変えずに、サステナビリティという言葉を使い続ける国が多くあります」と夫馬さん。実際、アメリカの企業は気候変動に大きな危機感を持ち、さまざまな取り組みをしていました。

 その一方で、日本の企業は何もしないまま時を過ごしていくのか、いつ気付くのかと、夫馬さんはずっと心配していたと話します。それが、2018年からようやく動き始めたのですが、「本気で取り組んでいる企業は100社もないでしょう。企業に与える影響の大きさをほとんどの方が理解していない状況です。興味もないし関心もないという企業がほとんどですから、まだまだ心配しています」(夫馬さん)

 日本でサステナビリティの取り組みが進まなかった理由として、夫馬さんは長らく情報分断が発生していたことを挙げます。「そもそも日本語の情報が少なく、調べようとすると英語の情報しかありませんでした。香港やシンガポールでは非常に多くの情報が出ていたにもかかわらず、日本には全く情報が入ってきませんでした。情報に接する機会が少なければ、“自分ごと”として捉えることは難しく、取り組みも進みにくいわけです」

 夫馬さんは、2030年には、SDGsに取り組んだ企業とそうでない企業の差が明確になってくると話します。「今から取り組んでおかないと、2030年には世界でビジネスができなくなる可能性があります。既に世界中の競合企業がサステナビリティに取り組んでいますので、取り組んでいない企業はビジネスを切られてしまうと思います」(夫馬さん)

 その影響がより早く出始めるのは、製造業、物流業、農業であると夫馬さんは話します。影響を受けるのは、世界で活躍するグローバル企業だけではなく、原料などを輸出入する中小企業も例外ではないようです。「例えば、農業は温室効果ガスが多く排出されますし、化学肥料や化学農薬の大幅削減を決めた国もあります。今後は海外はもちろん、国内のスーパーマーケットでも取り扱ってもらえなくなることになるおそれがあります」と夫馬さん。