これに先立つ21年10月、アップルは「数百万のアプリのための信頼できるエコシステムの構築」と題するリポートを公表し、マルウエアの脅威を強調した。「過去4年間におけるAndroid端末のマルウエア感染件数はiPhoneの15~47倍に上った」などとする内容で、ウェブサイトや非正規アプリストア経由のダウンロードを容認すれば、iPhoneのプライバシーとセキュリティー保護が機能しなくなると主張した。
アプリ団体はアップル非難
これに対し、音楽配信大手のスウェーデン・スポティファイ・テクノロジーや人気ゲーム「フォートナイト」の開発元である米エピックゲームズなど数十社・団体でつくるNGO「アプリの公平性のための連合(CAF)」は反論。「プライバシー保護のための広告規制や高額な手数料の支払いなどを定めたアップルのアプリ規定は反競争的だ」と批判している。
スポティファイのオラシオ・グティエレスCLO(最高法務責任者)は今回ロイターとのインタビューで、「サイドローディングを巡るアップルの主張は、反競争的行為から話をそらすためのまやかしだ」と批判した。
アップルの主張は一貫して「App Storeで実施するアプリ審査によって利用者の安全やプライバシーが守られている」というもの。その一方で同社は自社決済システムを介して開発者から15~30%の課金手数料を得ている。エピックはこの手数料が法外だとして20年8月にアップルを提訴した。この訴訟は21年9月10日に一審判決が下ったが、双方とも判決を不服として上級審で争う意向を示している。
米議員もデジタル規制改正案
米国では連邦議会下院の超党派議員が反トラスト法(独占禁止法)の改正案を21年6月に公表。アップルなどが開発者向けプラットフォームを運営しながら、自社アプリを提供していることなどを問題視している。「プラットフォーム独占終了法」と「オンラインにおける米国人の選択と技術革新法」が成立すれば、アップルはサイドローディングを認めざるを得なくなると指摘されている。
(参考・関連記事)「アップル、アプリ市場開放に向けた動きを強くけん制 | JDIR」