アップル ロゴ(写真:UPI/アフロ)

 米アップルは10月13日、モバイルアプリに関する新たなリポートを公表し、「サイドローディング」と呼ばれる正規ストア以外からのインストールは危険だと、あらためて主張した。

「利用者を深刻なセキュリティー上のリスクにさらす」

 「ユーザーを深刻なセキュリティー上のリスクにさらす」(アップル)としている。ロイターによると、欧州連合(EU)が準備を進めるアプリ配信の市場開放に向けた動きを批判する狙いがあるという。一方で、人気ゲーム「フォートナイト」の開発元である米エピックゲームズや音楽配信大手のスウェーデン・スポティファイ・テクノロジーなど数十社・団体でつくるNGO「アプリの公平性のための連合(CAF)」はこうしたアップルの主張を批判している。

 「Building a Trusted Ecosystem for Millions of Apps(数百万のアプリのための信頼できるエコシステムの構築)」と題する今回のリポートでは、「マルウエア」と呼ぶ悪意のあるプログラムの脅威を強調した。

 以下のような内容だ。

 ・「過去4年間におけるAndroid機器のマルウエア感染件数はiPhoneの15~47倍に上った」
 ・「欧州の規制当局は、1日当たり23万件のマルウエア新規感染を報告している」
 ・「欧州最大のサイバーセキュリティー会社は、顧客のAndroid機器に対する攻撃が1カ月当たり600万件あったと報告した」

 リポートでは、欧州ネットワーク情報セキュリティー庁(ENISA)や米国土安全保障省、ロシアのカスペルスキー、フィンランドのノキアなどが公表したセキュリティーに関する148件の調査・研究結果を引用。自社の「App Store」を介さずにダウンロードすることや、サードパーティーのアプリ配信サービス(非正規アプリストア)を容認すれば、iPhoneのプライバシー・セキュリティー保護が機能しなくなると指摘した。

欧州の「デジタル市場法」を警戒

 アップルは、iPhoneなどの同社製モバイル機器向けアプリをApp Store以外で配信することを認めていない。また、有料アプリに対して15~30%の手数料を徴収している。だがアップルや米グーグルのアプリストアを巡る不満はくすぶっている。こうした中、2社は、法改正に向けた動きや規制当局の監視、訴訟といった問題に直面している。

 EUの欧州委員会は20年12月、米IT大手を念頭に置いたデジタル規制法案を公表した。その1つである「デジタル市場法(DMA)」は、自社製品・サービスの優遇などを禁じたり、企業買収の際の事前通知を義務化したりと、巨大企業よる競争阻害行為の抑止を狙っている。

 アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は21年6月、このデジタル市場法に触れ、サイドローディングを強制するものになりかねないと批判。「iPhoneにアプリをインストールするための代替手段となるもので、我々はiPhoneのセキュリティーを破壊するものと考える」と述べていた。

米国では「プラットフォーム独占終了法」

 米国では21年6月に、連邦議会下院の超党派議員が反トラスト法(独占禁止法)の改正案を公表。アップルなどが開発者向けプラットフォームを運営しながら、自社アプリを提供していることなどを問題視している。そのうちの「プラットフォーム独占終了法」と「オンラインにおける米国人の選択と技術革新法」が成立すれば、アップルはサイドローディングを認めざるを得なくなると指摘されている。

 米国での法改正案を受けて、アップルは同年6月に今回と同様のリポートを公表。ハッカーやネット詐欺師がApp Store以外でマルウエアをインストールさせ、利用者を危険にさらすと指摘した。これら一連のリポートは、法案に関する議員らの動きを強くけん制する狙いがあるとみられている。

 (参考・関連記事)「アップル、「App Store」の開放に断固反対の姿勢 | JDIR