オフィス街宴会から地元の人も利用する店へ

 開発途中の構想についてダイヤモンドダイニング側ではどのように受け止めたのか。鹿中氏はこう語る。

「われわれは業態開発には自信があります。しかしながら、単独で店をつくろうとすると、これまでの延長戦上の発想しかできず、新しいシステム・テクノロジーを導入しても最適な環境は実現できないでしょう。トレタさんのアプローチに大変刺激を受けたこともあり、それならば、トレタさんとゼロベースから取り組んで、お互いの得意な領域を生かし、知見を出し合って、お店をつくり上げていくのがベストだと結論付けました」

 では、その業種がどのようにして「焼鳥」となったのだろうか。

「業種はしばらく決まっていませんでしたが、外食するときのストレスを解消するという観点で焼鳥店でのストレスがとても多いことに気付きました。複数人で利用した場合、味付けはたれがいいか塩がいいか、ねぎまを食べたいが頼んでいいか、1本を複数人でシェアする、ワリカンが面倒だ・・・という具合。また、当社にはブラッシュアップが必要な焼鳥業態があり、これをリブランディングするという発想もあった」

 場所が「大崎」となったのは、なぜだろうか。

「この店は以前、当社の肉バル業態でオフィス街宴会が主でした。肉バルはオーナーが店にいてこだわりのメニューを出すのが強みなのにチェーンとなれば弱くなる。オフィス街宴会の場合は店の稼働時間が短くて土日が利かない。こういうことが以前からの課題でした。その一方で、大崎というエリアは地元住民も多い街です。そこで夕方4時ぐらいから営業して、土日は地元のお客さまが散歩ついでに立ち寄るというシーンをイメージしました」