客単価3000~5000円の業態に向けた仕組み

「焼鳥IPPON」が開発された経緯について、ダイヤモンドダイニング取締役副社長の鹿中一志氏はこう語る。

「昨年、コロナ禍となって、われわれはこの影響はしばらく続くだろうと考えました。そこで、われわれのアルコールビジネスはどのように変化していくのか、自社の予約システムなどから飲食業の動向を分析するトレタさんに相談したことから、この計画は動いていきました」

 トレタ側では、大きなトレンドをつかんでいた、それは「コロナ禍にあっても、高単価業態や専門店、超繁盛店には予約が入っている。オフィス街の3000~5000円あたりの宴会は予約が戻っていない」ということだった。予約が戻ってきていない領域とは、まさにダイヤモンドダイニングが課題としているところ。

 そして、当時、トレタでは新しいモバイルオーダーの仕組みを開発していた。新型コロナウイルスのワクチン接種が進んで、飲食店に客足が戻り、反動需要が期待される中での、客単価3000~5000円あたりの業態に向けた仕組みづくりである。

 この2つが合わさり、「アナログの接客を超えた」「おもてなしも実現する」という飲食店DXのサービスが誕生。今年の7月26日に「トレタO/X(トレタオーエックス)」としてリリースされた。

 トレタは業界に先駆けて飲食店の予約システムを開発し、飲食店の多くが予約台帳を紙からデジタルに切り替えるきっかけをつくった会社。その発想で、店での注文、会計まで、「食事をする」リアル以外の部分をオンラインにしたというのが「トレタO/X」である。

従業員に「すみませ~ん」と声を掛ける必要がなく、従業員はお客に穏やかに丁寧に接する