どんな時も自分好みに「カスタマイズ」

「焼鳥IPPON」の注文の仕方では、自分好みにできる「カスタマイズ」と時間帯ごとに価格が変動するドリンクの「ダイナミックプライシング」の2つもポイントになっている。

 例えば、「焼鳥」は自分好みの部位と味付けを選ぶことができる。だから、同席している人同士が「5本セット」を注文しても、それぞれ内容を変えることができる。価格は部位別のものが1本165円、つくね・巻き串は280円、5本盛り合わせは880円。単品メニューは鶏を使用したものが中心で、380円、400円、450円、480円、500円、550円、600円で構成。現状、メニューには複数で取り分けるものはなく、全てお1人様対応のボリュームとなっている。

 サラダ、ラーメンもカスタマイズ可能。「私のサラダ」550円はベースの野菜に8種類の野菜から3種類、ドレッシングも3種類から選択。「鶏白湯ラーメン」550円はスープ2種類、麺2種類から選択。追加料金でトッピングもできる。

 「レモンサワー」のカスタマイズは、まず「お酒の濃さ」で「ノンアル」「ごく薄」「薄め」「普通」「濃いめ」から選択。次に「レモンの種類」は「フローズン」「スライス」「塩漬け込み」から選択。そして「トッピング」は「ハチミツ」「ジンジャー」「ソルト」から選択する。

レモンサワーのダイナミックプライシング。最大で20%の価格差を設けている

 このレモンサワーで行われるのが、「ダイナミックプライシング」だ。通常価格は「550円」だが(19:00~19:59)、1時間ごとに繰り下がる、ないし繰り上がるごとに5%オフ、10%オフ、20%オフとなっていく(例えば、16:00~16:59と22:00~22:59は20%オフ)。これにより、店内の混雑状況の平準化が期待され、またこの仕組みをフードメニューに導入することでフードロスの解決にもつながる。

 筆者は同店がオープンしてから、ランチタイム、ディナータイムともに訪ねた。そこで体験したことを、最後に記しておこう。

 ランチタイムは、「当日精米したごはんと鶏だしみそ汁御膳」1000円(税込)の1品目のみだが、主菜は3種類から1品、副菜は5種類から2品選ぶ。これに全て玉子焼きと漬物が付く。自分のスマホでオーダーして、すぐに決済。オーダーしたメニューは10秒たたずに運ばれてきた。店に入って食事をすぐに終えることができ、食事後にレジに並ぶ必要もない。

ランチは1品目のみだが、主菜・副菜ともに数種類から選ぶようになっていて日替わりのカスタマイズができる

 ディナータイムの場合、注文は1品ずつデジタルメニューにタッチすることになるので、従業員に「すみませ~ん」と声を張り上げる必要がない。従業員はみな穏やかで、デジタルメニューの使い方などを含めて丁寧に対応してくれた。

 「焼鳥IPPON」はどんな店か。象徴的にいうと「すみませ~ん」という言葉が存在しない店。お客も従業員もイライラすることのないストレスフリーの飲食店である。