浜松市デジタル・スマートシティ構想の3つのテーマ

 浜松市長である鈴木康友氏は、浜松市デジタル・スマートシティ構想で対象としている分野を「3つのテーマ」ごとに説明する。

 1つが「ウエルネス」だ。

「もとより『健康寿命3期連続日本一』である浜松市は、市民が健康で長生きできるプラットフォームを持っています。今後も市民が病気を予防し、健康で幸せに暮らせる“健幸”な都市を目指すべく、『浜松ウエルネスプロジェクト』を立ち上げました。同プロジェクトの中核である浜松ウエルネス・ラボでは、地域内外の大手企業やベンチャー企業とともに社会実証事業を展開し、データやエビデンスなどを取得しています。それらは浜松ウエルネス・ラボ内のデータプラットフォームに蓄積し、市による予防・健康づくりの施策、企業によるビジネス展開に活用します」

 2つ目の分野は「エネルギー」。

「私は市長になる前、国会議員を5年間経験していますが、そのときの専門分野がエネルギー分野でした。当市においては2015年、エネルギー問題に官民連携で取り組むため、浜松市スマートシティ推進協議会を立ち上げました。同協議会は浜松版スマートシティ形成に関する産学官金のプラットフォームとして機能し、浜松市をフィールドとした事業化に向け、さまざまなスマートプロジェクトを展開しています。2020年3月には2050年までの二酸化炭素排出実質ゼロを目指した『浜松市域“RE100”』を表明。現在、カーボンニュートラルを目指したロードマップをまとめています」

 そして、3つ目の分野は「モビリティ」だ。

「2020年度、当市は浜松版MaaS構想を策定しました(MaaS=Mobility as a Service)。国土縮図型都市である浜松市には中山間地域から都市部までがありますが、過疎地域・都市部のいずれにおいても公共交通の整備が課題です。特に浜松市はスズキ、ホンダ、ヤマハ発動機の発祥地でもあり、今も自動車関連産業が盛んです。地域や産業界と連携しながらMaaSの取り組みを進めていきたいと考えています」

データ連携基盤を活用した実証実験プロジェクトも

 この他、データ連携基盤を活用した実証実験プロジェクトとして「Hamamatsu ORI-Project」(Hamamatsu Open Regional Innovation Project)も行われている。プロジェクトの名称には「遠州織物をはじめとした繊維の街・浜松で、糸を紡ぐように官民が連携し新たなイノベーションを起こす」という思いが込められた。

「今年度で2年目を迎える同プロジェクトは『データ連携基盤を活用した新たなサービス等の創出』『ユースケースの創出』を目的とした活動です。採択プロジェクトは浜松市およびスポンサーから実現に向けた多角的な支援を受けられます。IT技術で地域課題解決を目指す非営利団体Code for Japanにデータ連携基盤をご提供いただき、スポンサーとして通信事業者であるNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなどにご参画いただいています。市内企業のみならず全国からご応募をいただき、今年度は13件のプロジェクトのうち7件(下記)が採択されました」

採択プロジェクト(テーマ別50音順)

●「3D点群データを利用した林道の利活用・維持管理・防災点検運用支援」(農林業)/株式会社フジヤマ(静岡県浜松市)

●「キッチンカーを活用した市民参加型6次化実証プロジェクト」(農林業)/Yui support株式会社(静岡県浜松市)

●「新型コロナウイルス感染シミュレーションに向けたD2D社会実験」(暮らしやすさ)/国立大学法人静岡大学(静岡県静岡市)

●「まちの情報シェアアプリの災害時ボランティアニーズ収集活用」(暮らしやすさ)/ためま株式会社(広島県広島市)

●「海域(浜名湖含む)へ排出されるプラスチック等の人工系ごみ輸送量の実態把握」(暮らしやすさ)/八千代エンジニヤリング株式会社(東京都台東区)

●「AIによる街の幸福度向上と可視化プロジェクト」(暮らしやすさ)/一般社団法人One Smile Foundation(神奈川県横浜市)

●「どこでもdoerプロジェクト」(その他)/どこでもdoerプロジェクト事務局(神奈川県藤沢市)