エイチ・ツー・オー リテイリング 株式会社 経営企画グループ オープンイノベーション推進部長 兼 千里中央公園パークマネジメント株式会社 代表取締役社長の杉本良平氏(撮影:榊水麗)
阪急阪神百貨店などを傘下に持つエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)は、人口減少などの地域の課題と向き合う中で、新たに公園の管理・運営に乗り出した。前例のない現場発の提案は、いかにして経営層を巻き込む新規事業となったのか。経営企画グループ オープンイノベーション推進部長 兼 千里中央公園パークマネジメント株式会社代表取締役社長の杉本良平氏に、事業の開発プロセスを聞いた。
経営層との「ハーモニー」を生み出す言葉の選び方
――「百貨店が公園を手がける」という前代未聞のプロジェクトを進めるに当たり、社内の合意形成も簡単でなかったのではと思います。どのようにして経営層の理解を得ていったのでしょうか。
杉本良平氏(以下、敬称略) エイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)には「地域住民への生活モデルの提供を通して、地域社会になくてはならない存在であり続けること」というグループの基本理念があります。
私たちはグループの基本理念に照らして、公園事業をサステナビリティ経営の中核に位置付ける方針を共有しました。現場からの提案と、トップが掲げる理念の接点を言葉でそろえることで、方向性の一致──「ハーモニー」が生まれました。
――「ハーモニー」とは、具体的にどのようなものでしょうか。
杉本 経営層へ事業を提案するとき、「私はこの事業をやるべきだと思います」「私はこのプロジェクトを実現したいんです」と、主語を「私」にしてしまうと「だったら君のお金でやったら?」と言われてしまいます。






