新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、生活者におけるデジタル技術の活用が加速する中で、行政のデジタル化の遅れが改めて浮彫りとなった。行政においてはまだ紙文化が根強く存在していることも一因であり、東京都は「シン・トセイ 都政の構造改革QOSアップグレード戦略」(2021年3月公表)の中で「5つのレス」の一つとしてペーパレスを提唱しているが、民間企業におけるペーパレス、デジタル化が進む一方で、行政の歩みは遅い。
国は今、行政のデジタル改革を集中的に実施しようとしている。「骨太方針2021」では、デジタルガバメントの構築を一丁目一番地に示し、住民の利便性向上に重きを置いている。総務省は「自治体DX推進計画」を策定。自治体はこれに基づき、自治体DX推進計画を策定することとなっており、自治体におけるデジタル化の取り組みが加速されることが期待されている。また、令和3年改正個人情報保護法において、個人情報保護条例の一元化が提唱され、自治体間でのデータ連携の障壁の一つであった、いわゆる「2000個問題」の解消の糸口が示された。
自治体を取り巻く環境が大きく変わる中で、自治体が求められるデジタルトランスフォーメーションの基盤となるのはデータの利活用である。紙媒体で運用・管理している情報をデジタル化し、情報共有をデジタル空間で行う。そうした基礎ができてこそ、地域や社会を変革することが可能となる。自治体は地域社会をより良くするために、どのようにデータを利活用すべきだろうか。