欧州や米国で規制強化の動き、独禁法訴訟も
こうした中、グーグルとアップルは、世界で規制当局からの監視や訴訟といった難題に直面している。欧州連合(EU)の欧州委員会は20年12月、米IT大手を念頭に置いたデジタル規制法案を公表した。その1つである「デジタル市場法」は、自社製品・サービスの優遇などを禁じたり、企業買収の際の事前通知を義務化したりと、巨大企業よる競争阻害行為の抑止を狙っている。スマホ標準搭載アプリの削除などを要求する可能性があり、グーグルやアップルが影響を受ける見通しだ。
米国では21年7月に37州・地域の司法長官がグーグルを反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提訴した。司法長官らはアプリ開発者との契約や技術的障壁などを通じて競争を阻害したと指摘。開発者に課している原則30%の手数料支払い義務によって、消費者への料金が割高になっているとも批判した。
米議会上院の超党派議員は21年8月11日、グーグルやアップル
また、人気ゲーム「フォートナイト」の開発元である米エピックゲームズは、グーグルとアップルの課金手数料が法外だと批判し、20年8月に2社を提訴した。
アップルとグーグル、一定の譲歩示す
一方で、2社は一定の譲歩を見せている。アップルは2021年1月、App Storeで得た年間収益が計100万ドル(1億1000万円)以下の開発者を対象に手数料を30%から15%に下げた。グーグルもアップルに追随。21年7月1日からすべての開発者を対象に、Google Playでの年間売上高が100万ドルに達するまでの手数料を15%に下げた。
アップルは21年8月下旬、App Storeの運営方法が反競争的だとして集団訴訟を起こしていた中小のアプリ開発者らと和解すると発表した。開発者はアプリを通じて入手した利用者の電子メールアドレス宛てにメールを送り、他の決済方法を案内できるようになった。ただし、依然、アプリ内で外部決済手段を案内することを禁ずるなど、アップルの譲歩は極めて限定的だと批判の声も上がっている。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、グーグルとアップルのアプリ手数料ビジネスは収益性が高い。今後、韓国のような法制化の動きが他国に広がれば、これらビジネスの成長は脅かされると同紙は報じている。
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