アップル イメージ(写真:ロイター/アフロ)
米アップルは6月2日、アプリ配信サービス「App Store」を通じて昨年(2020年)1年間に生み出された販売額の合計が6430億ドル(約70兆5200億円)に達し、前年から24%増加したと明らかにした。新型コロナウイルスの影響で多くの人が対面の交流を避け、アプリを通した消費が拡大したという。
同社は「App Store経済圏」の実態を示すデータとして、米コンサルティング会社アナリシスグループによる調査・分析結果を19年分から公表している。
最も金額が多いカテゴリーは、小売りや配車、料理・食料品宅配、旅行などの「物理的な商品・サービス」。20年の金額は前年比24%増の5110億ドル(約56兆400億円)で、全体の約8割を占めた。
「小売り全般」が43%増の3830億ドル
その内訳を見ると、電子商取引(EC)大手の米イーベイや手作り品ECサイトの米エッツィー、中国アリババ集団のマーケットプレイス「淘宝網(タオバオ)」などの「小売り全般アプリ」が前年比43%増の3830億ドル。
米ドアダッシュや英デリバルー、米ウーバーテクノロジーズのイーツなど「料理宅配アプリ」が同18%増の360億ドル。米インスタカートやチリのコーナーショップなどの「食料品宅配アプリ」が同56%増の220億ドルだった。
一方で外出控えが影響し、米エアビーアンドビーなどの「旅行アプリ」が同34%減の380億ドル、ウーバーや米リフトなどの「配車サービスアプリ」が同34%減の260億ドルとなった。
「デジタルグッズ・サービス」は4割増の9.4兆円
2番目に金額が大きかったカテゴリーは、音楽・動画配信や電子書籍、ゲーム、オンライン講座などの「デジタルグッズ・サービス」で、金額は同41%増の860億ドル(約9兆4300億円)。
アップルはこのデジタルグッズ・サービスで、開発者やサービス運営企業から手数料を受け取っている。例えば、有料アプリやアプリ内課金の場合、アップルの取り分は販売額の30%、サブスクリプション(継続課金)サービスは、1年目が同30%で、2年目以降が15%。
App Storeを巡っては、配信や課金の仕組みが独占にあたるとして、人気ゲーム「フォートナイト」の開発元である米エピックゲームズが提訴した。こうした批判をかわす狙いかアップルは21年1月、App Storeで得た年間収益が計100万ドル(1億1000万円)以下の企業を対象に手数料を15%に引き下げた。
ただ、デジタルグッズ・サービスの860億ドルには、一部の動画配信サービスのように、アップルの課金システムを介さずに取引された金額も含まれている。
アップルは昨年のレポートで、「アップルから開発者に直接支払われた金額は、アプリを通じて販売された商品やサービスの売上高などを含んだ膨大な金額から見れば、ほんの一部にすぎない」と説明。App Storeがもたらす経済効果は、同社と開発者間の取引金額よりもはるかに大きいと強調した。
「9割がApp Storeを介さず」と主張
3番目に規模が大きいカテゴリーは「アプリ内広告」で、20年の金額は前年比4%増の460億ドル(約5兆400億円)だった。こちらはゲーム内広告が190億ドルで、このカテゴリーの41%を占めている。それ以外は、フェイスブックやインスタグラム、ツイッター、ユーチューブ、ピンタレスト、ティックトックのように広告によって収益を得ているアプリだ。
App Store経済圏の総販売額6430億ドルのうち、App Storeの外で行われた取引は90%(金額ベース)。これらについてアップルは一切手数料を受け取っていないとしている。前述したとおり、同社はデジタルグッズ・サービスの有料アプリ開発者から手数料を得ている。2008年にApp Storeを立ち上げて以来一貫して、物理的な商品・サービスやアプリ内広告から手数料を徴収しない方針だとしている。
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