また、韓国LG電子がスマートフォン事業からの撤退を表明しており、他の上位メーカーがシェアを拡大させている。IDCによると最も恩恵を受けたのはシャオミ。シャオミは前述した通り出荷台数が前年同期比約1.9倍となり、アップルを抜いて初めて2位に浮上した。

 中国realme(リアルミー)の出荷台数も同149%増となるなど好調。同社は75%以上を中国以外の市場に出荷した。こうした中国メーカーは欧州や中南米、中東・アフリカ地域に重点的に取り組んでおり、これらの市場でサムスンなど大手との競争が激化している。また、LG電子が強みを持っていた米国市場では、中国レノボ・グループ傘下のモトローラ・モビリティや中国TCL、オッポ傘下のOnePlusがシェアを伸ばしているという。

中国市場で恩恵を受けるアップル

 世界最大市場である中国では急速に衰退するファーウェイを背景に、シャオミやオッポ、ビボ、アップルがファーウェイのシェアを奪っている。

 このうち、アップルは全体の出荷台数こそ少ないものの、ハイエンド端末分野でシェアを伸ばしている。例えば21年1~3月期における中国の価格800ドル(約8万8000円)超のスマホ市場で、アップルのシェアは72%だった。これに対し同分野におけるファーウェイのシェアは24%に低下した。

 一方、これに先立ちIDCが公表した21年4~6月期の中国スマートフォン市場出荷台数は前年同期比10%減の7900万台だった。「消費を喚起できるような旗艦モデルの品ぞろえが少なかった」(IDC)ことが市場縮小の要因だという。ただ、それでも中国市場の出荷台数は世界全体の約4分の1を占めている。

 中国スマホ市場の上位5社は1位から、ビボ、オッポ、シャオミ、アップル、オナー(HONOR)の順。5位のオナーは、米政府の輸出規制をかわす狙いでファーウェイが分離したスマホブランド。だがオナーの出荷台数は同46%減少。オナーを除く4社は約17%~47%伸びた。4位のアップルは同29.2%増の940万台に伸ばし、シェアを11.9%に拡大した。