米グーグルの持ち株会社である米アルファベットは7月23日、産業用ロボットの制御ソフト会社「Intrinsic(イントリンシック)」を設立したと明らかにした。複雑なロボット作業の設定を人工知能(AI)などを使って、容易に短時間・低コストで行えるようにし、より多くの人々が新たな製品やサービス、事業を開発できるようにするとしている。
CO2排出削減や人手不足問題の解消
新会社のCEO(最高経営責任者)に就任したウェンディ・タン・ホワイト氏が同日、ブログで会社設立の目的を説明した。
同氏は世界経済フォーラムのデータを引用し、現在、世界で販売される7割の製品は、わずか10カ国の企業によって製造されていると指摘。1位の中国が約29%、2位の米国が約17%、3位の日本が約7%といった具合だ。この後にドイツ、韓国、インド、イタリアなどと続いている。
つまりほとんどの製品は、最終消費者がいる国から遠く離れた場所で製造されている。これが物流による二酸化炭素(CO2)排出の増加につながっている。また、多くの国の企業がビジネスチャンスを逃しているという。
同氏は、デロイトトーマツグループのリポートを引用し、米国の製造業は2030年までに210万人の人員不足に陥り、供給が需要に追い付かなくなるとも指摘。産業用ロボットを容易に導入できるようにすることで、これらの問題を解決できると説明している。
AIなど活用し設定時間大幅短縮
タン・ホワイト氏によると、ロボットに動作を覚えさせる作業は、数十年間大きな進展がないという。プログラマーが数百時間を費やし、金属パーツを溶接したり、電子機器のケースを接合したりといった作業を設定している。
だが、プラグやケーブルを組付けるといった動作は依然実現不可能。ロボットが自らの物理的環境を理解するためのセンサーやソフトウエア技術が不足しているからだという。