タン・ホワイト氏のチームでは、ロボットに感知・学習・調整させる技術を研究している。これまでに自動感知や機械学習、強化学習、運動制御・運動計画、シミュレーション、力制御などの技術を試験している。これが実現すれば、ロボットは様々な設定や用途に対応できるようになるという。

 同氏は、これまで数百時間の設定が必要だった部品連結作業の動作を2時間に短縮できた事例を示した。また複数のロボットアームが協調し、建築部品や家具を組み立てる試験も行っている。いずれも現在のオートメーション技術ではコストの問題などで実現不可能だとしている。

 新たに設立したイントリンシックでは、自動車や電機、ヘルスケアといった、すでに産業用ロボットを活用しているメーカーと連携し、技術開発や技術検証に注力していく考えだ。

課題は黒字化

 イントリンシックは、世界的な問題を新技術で解決することを目指す、アルファベットの先端技術研究部門「X」の1つのプロジェクトだった。これまでにXから独立した企業には、自動運転開発会社の米ウェイモ(Waymo)や生命科学研究の米ベリリー・ライフサイエンス(Verily Life Sciences)などもある。

 これら事業はアルファベットの「アザーベッツ(その他部門)」に分類されている。だが同部門は常に赤字状態。21年1~3月期は売上高が1億9800万ドル(約218億円)だったのに対し、営業損益は11億4500万ドル(約1263億円)の赤字だった。また、Xから独立した米ルーン(Loon)という空の無線(通信)基地局事業を21年1月に閉鎖している。

 グーグルは以前からロボット事業に興味を示してきた。13年には人型二足歩行ロボットや犬型四足歩行ロボットなどを開発してきた米ボストン・ダイナミクスを買収。だが米CNBCによると、17年に同事業をソフトバンクグループに売却するなど、これまでに複数にロボットプロジェクトが立ち消えになっているという。