例えば、米上院のエイミー・クロブシャー議員(民主党)は「この買収が競争を阻害する恐れのないよう徹底的に調査しなければならない」との声明を出している。

超党派議員がGAFA念頭の反トラスト法改正案

 テクノロジー大手の商慣行に対する警戒感も強まっている。議会下院の超党派議員団は21年6月11日、GAFAなどを念頭に置いた反トラスト法の改正案5本を提出した。

 うち1つは「プラットフォーム独占終了法」(米CNBC)。米国の月間利用者数が50万人以上で、時価総額が6000億ドル(約66兆4900億円)以上の企業を対象とし、アマゾンやアップルがそれぞれ出品者や開発者向けプラットフォームを運営しながら、自社の商品やアプリを販売・提供していることを問題視している。

 前述した下院司法委員会の反トラスト小委員会で委員長を務める民主党のシシリーニ議員は「規制を受けていないテック独占企業が過大な力を持っている。我々の目的は公平な機会を与えることだ」と述べている。

 また、21年5月には、米首都ワシントン(コロンビア特別区)の司法長官が反トラスト法違反の疑いでアマゾンを提訴。「アマゾンは出店者が参加するマーケットプレイスで他のサイトよりも安く売るよう指示し、価格を拘束した」と指摘した。

 このほか、20年6月には米ワシントン州と米カリフォルニア州の司法長官がアマゾンの調査を開始。ワシントン州ではマーケットプレイスで自社商品を有利に掲載していないかどうかを調べている。カリフォルニア州では、出品業者の販売データを不正に入手し、プライベートブランド(PB)の開発に利用していないかどうかを調べている。

 欧州連合(EU)の欧州委員会は20年11月、アマゾンに対し競争法違反の疑いに関する暫定的な見解を示す異議告知書を送付。同社が出品業者の売上高や発送個数、訪問者数といった非公開の販売データにアクセスし、自社製品の販売に利用したと指摘した。

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