米メディア大手のバイアコムとCBSは19年に再合併した。バイアコムはケーブルテレビ向け音楽専門チャンネル「MTV」や映画大手パラマウント・ピクチャーズを傘下に持つ。CBSは米テレビ3大ネットワークの一角だ。

 また、映画大手ユニバーサル・ピクチャーズを持つNBCユニバーサルの親会社である米ケーブルテレビのコムキャストは衛星放送の英スカイを買収している。

 だが米国では近年、「コードカッター」と呼ばれる、ケーブルテレビ契約をやめる人が急増した。数百チャンネルが用意される高額な受信契約をせず、好みの映画や番組だけを安価に利用できるインターネット経由の動画配信を選ぶ人が増えた。

 こうした中、ワーナーメディアのHBOとディスカバリーはそれぞれの動画配信「HBOマックス」「ディスカバリー+」を開始。バイアコムCBSも「パラマウント+」を、コムキャスト傘下NBCユニバーサルも「ピーコック」を開始し、ダイレクト・トゥ・コンシューマーズとも呼ばれる動画配信に注力している。

NBCユニバーサルがライオンズゲート買収か

 ダイレクト・トゥ・コンシューマーズが注目される中、今後考えられる組み合わせは、コムキャスト傘下NBCユニバーサルによるライオンズゲートの買収だとCNBCは報じている。NBCユニバーサルの「ピーコック」とライオンズゲートの動画配信「スターズ」を組み合わせるなどし、ネットフリックス、ディズニー、アマゾンに対抗する可能性があるという。

ワーナー+ディスカバリーとバイアコムCBSが合併する可能性

 CNBCは、ワーナーメディアとディスカバリーが経営統合して誕生する新会社と、バイアコムCBSが合併する可能性があるとも報じている。

 ワーナーメディア+ディスカバリーはバイアコムCBSとではなく、NBCユニバーサルと合併するとの観測もある。だが、ワーナーメディア傘下のCNNとNBCユニバーサル傘下のMSNBCが同一企業の傘下に収まることを当局が許すとは考えにくい。

 米国で映画興行収入が多いスタジオは1位から、「ディズニー」、「ユニバーサル・ピクチャーズ」、「ワーナー・ブラザース」、「ソニー/コロンビア」、「ライオンズゲート」、「パラマウント・ピクチャーズ」、「フォックス(ディズニー)」の順。

 2位を傘下に持つNBCユニバーサルと3位を傘下に持つワーナーメディアの組み合わせも現実的でない。

 一方で、バイアコムCBS傘下のパラマウント・ピクチャーズは業界6位。3位と6位の合併はより現実的。前述したとおりバイアコムCBSは地上波テレビネットワークを持つが、ワーナー+ディスカバリーは地上波テレビを持たない。ワーナー陣営の合併相手はバイアコムCBSが最適だろうとCNBCは伝えている。

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