日立は世界共通の人材管理基盤構築(2011年~)や職務を明確に定義した上で管理職を対象に適材を配置・処遇する「ジョブ型」人材管理(2014年~)など、グローバル市場を見据えた攻めの人事施策の導入で定評がある。

 日立は在宅勤務の比率を50%に設定した。なぜ50%かというと、日立の米国の子会社でIoTプラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」のグローバルソリューションを推進する日立ヴァンタラ社(Hitachi Vantara Corporation:本社カリフォルニア州サンタクララ)が平時でも在宅勤務が6割程度を占めていることや、緊急事態宣言以降の在宅勤務の成り行きを加味すると、日本でも5~6割の「半分在宅」は可能であろうという判断があったと言われている。

(参考)「日立が『半分在宅』を新常態に」(「日経ビジネス」2020年6月8日)

「半分在宅」と並行して、日立では「光熱費やマスクなどの費用として全社員に月3000円の手当の支給」や「モニターや作業用の机などの備品購入の補助」といった福利厚生の追加を行ったり、押印の電子化など業務ルールの見直しを進めたりするようだ。

 時を同じくして富士通も、緊急事態宣言が全面解除された後もオフィスへの出勤率を最大25%に抑えると発表した。社員の出勤を必要最小限にとどめ、原則在宅勤務を継続するほか、クライアントとの面談・打ち合わせについてもオンラインによる遠隔での実施を推奨、海外や国内の遠隔地への出張も原則禁止する方針という。

(参考)「富士通、在宅勤務を継続 出勤率25%に」(「日本経済新聞」2020年5月25日)

 富士通はコロナ以前の「平時」においても、事業拠点や民間のシェアオフィスを社員のリモートオフィスとして機動的に活用することが社員の働き方として定着しており、経営の大胆で迅速な判断の背景にはそういった日頃からの積み重ねがあったことを忘れてはならない。

 またこれらの動きに追随する形で、通信の最大手であるNTTグループも総務や人事など管理部門や研究開発部門を対象に、在宅での勤務の比率を50%以上にする方針を示した。

緊急事態宣言解除後も在宅勤務継続を決めた日本の主な大企業
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大企業でも導入が加速する社員の「副業」

 もうひとつの働き方のニューノーマルが「副業」である。実は副業解禁を加速するきっかけ(注)となったのは、2018年1月の厚生労働省による2つの発表、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」と、企業が就業規則などを作る際の雛形になる「モデル就業規則」改訂版だった。

(注)日本でもリクルート、ロート製薬、ITのサイボウズなど数少ない企業では2018年のはるか以前に「副業」を解禁している。

 特に後者の「モデル就業規則」改訂版では、労働者の遵守事項の「許可なく他の会社などの業務に従事しないこと」という規定が削除され、実質的に社員の副業や兼業が容認されたのである。

 以降、大企業では、社員のスキルアップだけでなく、優秀な社員の引き止めやリクルート対策などの目的で、新生銀行(2018年4月)、みずほフィナンシャルグループ(2019年6月)、アサヒビール、ライオン(ともに2020年1月)が相次いで社員の「副業」を解禁してきた。