長らく日本の投資信託市場の主役を担ってきたといえる毎月分配型。2017年に金融庁が「長期間にわたる個人の資産形成にそぐわない」と指摘したことで、銀行や証券会社が積極的に販売することが難しくなり、一気に資金流入が止まりました。

 毎月分配型投信はそこで使命を終えたか、と思ったのもつかの間。このところ、また純資産残高を増やしつつあります。

 この不思議な動向をどう捉え、どう対処すればいいかを考えてみます。

人気が衰えない毎月分配型

 国内で公募される追加型投信(ETFを除く)のうち、毎月分配型は2019年5月から4カ月連続で資金流入が流出を上回って純資産を増やしました。また、2019年10月21日現在の追加型型投信(確定拠出年金用とラップ口座用を除く)は全部で4915本、そのうち毎月分配型は1321本と、いまだに4分の1強を占めています。さらに、純資産残高上位20位のうち、8本が毎月分配型となっています(いずれもモーニングスター調べ)。

 金融庁が長期の資産形成には不向きだと明言し、金融機関が以前のように積極的に薦めなくなっても、毎月分配型は個人投資家に受け入れられているようです。

 毎月分配型が日本の投資家に好まれているのは、最近の話だけではありません。筆者の記憶では、1990年代半ばに外国籍投信(外国の法律に基づき外国で設定された投信)として輸入され、一部の投信は当時から数百億円レベルの残高を誇っていました。

理屈を超えた部分で好まれる?

 1998年における追加型投信(インデックス型を除く)の純資産残高トップは、5000億円を超えたゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの「バラエティ・オープン」。日本を除く主要先進国の債券および通貨を主要投資対象とした毎月分配型です。それ以降も、「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」(三菱UFJ国際投信)や「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配)」(ピクテ投信投資顧問)など、その時々で話題を集めた“メガファンド”は毎月分配型が多くなっています。

 最近では、分配金の金額が控えめで分配ルールもわかりやすい「予想分配金提示型」「目標払い出し型」などと呼ばれる新しいタイプの毎月分配型が登場しています。

 日本の個人投資家は理屈を超えた部分で毎月分配型投信が好き、と言わざるを得ないのかもしれません。