WeWorkで何が起きているのか?

最先端ワークスペースの真価を問う

田口 雅典/2019.9.18

いいね ツイートする
都内の拠点の一つWeWork 城山トラストタワー。開放的なコミュニティスペースは、働く場所の概念を覆すものだ ©︎WeWork Japan

 洗練されたラウンジでコーヒーを飲みながら、顔見知りになったビジネスパーソンと交わした会話がきっかけとなり、新しいビジネスが生まれる・・・。いかにもそんな出合いが起こりそうなコミュニティ型ワークスペースWeWork(ウィーワーク)が、日本に上陸して1年半が経つ。相変わらず高い人気を誇るこの新しいワークスペースだが、日々どのようなことが起こっているのか。

世界111都市528拠点超
急速に増殖するワークスペース最新系

「この先爆発的にスケールする・・・」「PoC(概念実証)がもうすぐ完了するから・・・」「昨日リリースしたサービスに3社からファイナンスが付く予定・・・」。いずれも都内のワークスペースから聞こえてきた会話の断片だ。場所はWeWork。現在急速に拠点数を増やし、数多くのコワーキングスペースがひしめく中でも、ひときわ大きな存在感を放っている。

 WeWorkは2008年、米NYで原型となるシェアオフィスから事業をスタート。またたく間に多くの企業の心を捉え、2019年6月時点の拠点数は、グローバル111都市に528拠点を数える。

 発祥のアメリカをはじめ、ヨーロッパではイギリス、フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、スウェーデンなどに拠点がある。その他、南米やアジア、シリコンバレーと並んでイノベーティブな企業誕生の地として注目を集めるイスラエルにもある。

 アジアでは、中国、ロシア、韓国、台湾、香港、そして日本にネットワークを広げている。日本に上陸したのは2018年2月だ。日本初の拠点となる六本木の「WeWorkアークヒルズサウス」を皮切りに、東京では丸の内、銀座と拠点を増やし、現在では20カ所を数える。東京以外では、横浜、大阪、福岡、名古屋、そして11月には神戸への進出と、主要都市へ拡張を続けている。

 いずれの拠点もローンチすればまたたく間に空きがなくなる。多くのコワーキングスペースやサービスオフィスがそうであるように、WeWorkもビジネスをスピーディーかつ最小規模から始められる仕組みが整っている。思い立ったその時からすぐに事業を始められ、成長に合わせて自在に規模を変えられる。

 ただ、こうした利便性だけがWeWorkの人気を支えているわけではない。オフィスとは思えないようなスタイリッシュでくつろいだラウンジ、淹れたてのコーヒーやお茶、ビールまで楽しめるホスピタリティ、メンバー(入居者)をつなぎ、新しいビジネスを生み出す環境をつくるコミュニティ、そして、グローバル進出を支えるワールドワイドな拠点網。これらの魅力が、そのままWeWorkのブランド力として、さらに新たな利用者を引き寄せている。

 こうしたメリットは、スタートアップだけではなく、大企業も強く惹きつけている。大企業には、有望なスタートアップや個人と出会い、新事業の開発や共創のきっかけをつかみたいというニーズが強い。オープンイノベーションの文脈でもWeWorkに期待が集まっているのだ。

 というのも先述のラウンジなど、コミュニケーションを促進するハード面の工夫だけでなく、WeWorkにはソフト面のサポートにも見るべきものがあるからだ。他拠点も含めたメンバー同士がコミュニケーションを計るのに欠かせないメッセンジャー機能付きの専用アプリ、さまざまな拠点で毎日のように行われている大小のイベント、メンバー間の交流を深めて新しい出会いを演出する懇親会などがそれだ。ビジネスを拡張しようと思えばチャンスはいくらでもある。